『刑事モース~オックスフォード事件簿~』
Case16「呪われた病棟」(「呪われたベッド」)あらすじと感想・曲 ネタバレ注意!

※ネタバレしています。

『刑事モース~オックスフォード事件簿~』
Case16「呪われた病棟」(「呪われたベッド」)"Lazaretto"のあらすじ

ブライト警視正が警察署で突然倒れ、カウリー総合病院に搬送される。 ブライト警視正は消化性潰瘍ですぐにオペを受け、入院することに。

ブライト警視正が入院するフォスディック病棟には、刑務所から移送されてきた囚人ベイクウェルも入院していた。 ベイクウェルは「10番ベッド」に入院。常連の患者タルボットによると「10番ベッド」は呪われており、回復していた患者も急変して亡くなるという。

モースは自宅で突然死した60代の女性エセル・ザッカリーデスの死を調べる。 エセルの夫は「10番ベッド」で死んでおり、タイピンが紛失したとエセルは病院に訴えていた。

マシューズ・ギャングについて証言するベイクウェルは命を狙われる危険性があり、モースたちが病院で警護につく。 ベイクウェルを殺しにプロの殺し屋が現れるが、逃亡。その後、殺し屋と運転手は車のトランクから死体で見つかる。

以前、付き合っていたモニカ・ヒックスと病院で再会したモースはモニカからフォスディック病棟の死亡率が高いと聞く。 サーズデイの妻ウィンは娘ジョアンがいなくなったことで、うつ状態に。

モースはサーズデイには内密にコレクトコールがあったレミントンの公衆電話の場所へ向かう。 公衆電話近くのアパートでジョアンのモンタージュ写真を見せると、ジョアンは54号室に住んでいることが分かる。

ジョアンは銀行強盗で同僚のロニーが死んだことを気に病んで自暴自棄になっていた。実家に戻る気もないという。 ジョアンの部屋に、結婚指輪を外してから男が入っていくのをモースは目撃する。

そして、モースは病院で会ったキャロラインに会いに。キャロラインはモースが昔、婚約していたスーザンの母親。キャロラインの夫エドガーは卒中でカウリー総合病院に入院していた。 スーザンはモースと別れたあと、ヘンリーと結婚したらしい。

キャロラインは身分が違うモースとスーザンの結婚に反対だったらしく、モースに辛辣だった。 その後、エドガーは亡くなり、モースは遠くからキャロラインやスーザンが参列するエドガーの葬儀を見守る。

「10番ベッド」に入院していたベイクウェルが死亡。手には白いスイートピーが握らされていた。殺し屋はベイクウェルが殺されたときには、すでに死んでいたため犯人ではない。

ベイクウェルの右の臀部にはインスリンの注射痕が残っており、死因はインスリンの過剰摂取による低血糖だった。 10番ベッドで死んだ患者はベイクウェルで9人目。防腐処理がされていない患者の遺体を掘り返すと、その遺体にもインスリンの注射痕が残っていた。

モースは病院内のラジオや移動図書室をボランティアでしているレスター・フェイゲンを疑う。ベイクウェルが宝石強盗をして重傷を負わせたナオミはレスター・フェイゲンの元妻だった。しかし、レスター・フェイゲンはシロ。

モースはエセル・ザッカリーデスのオウムの世話をしていたが、その鳥かごから手紙を発見。 タイピンの紛失の件で病院から届いたという偽手紙の差出人にはM・キーナンの名前が書かれていた。

10番ベッドで死んだ患者を担当していたのはすべてドクター・パウエル。 ドクター・パウエルの経歴を調べると15年前、ロング・ハンプトン病院で11歳の少女 モリー・キーナンがインスリンの過剰投与で死亡していた。

モリーのいとこのジョー・ベス・キーナンはモリーの様子がおかしくなった時、ベルを鳴らしたが、当時、ドクター・パウエルと看護師のクローダは付き合っており、ベルを切って情事を楽しんでいた。 そのせいで、モリーは手遅れとなって死亡。

モリーの親はパウエルを訴えたが、看護師のクローダはパウエルをかばい、実習生のミスだと証言。 その後、その実習生は自殺していた。

成長し、看護師になったジョー・ベス・キーナンはジョー・ベス・ミルズという名前となり、偶然にもパウエルとクローダと再会。

2人にモリーの死を償わせようと、モリーが入院していた「10番ベッド」の患者を10人殺し、パウエルの罪を暴かせようとしていた。患者が死ぬたびに白いスイートピーを残したのはモリーが「スイートピー病棟」に入院していたからだった。

エセル・ザッカリーデスを殺したのもジョー・ベス・ミルズ。タイピンが紛失したと騒ぐエセルが邪魔になり、モリー・キーナン(M・キーナン)の名前で偽の手紙を出し、家を訪ねるとお茶に薬を入れ、意識を失わせた後、インスリンを注射して殺していた。 その時、ミルズはエセルのことを「意地悪ババア」と呼び、オウムがその言葉を覚えたのだった。

ミルズは10人目として10番ベッドに移ったブライト警視正まで殺そうとしていた。 ミルズはインスリン注射で看護師長のクローダに襲い掛かる。モースたち警察に追い詰められたミルズは階段から飛び降りようとするが、確保される。 インスリンが点滴に入れられていたブライト警視正は間一髪で助かる。

一方、どこかの山小屋ではタロットカードの占いで「死」のカードが開かれていた。

『刑事モース~オックスフォード事件簿~』Case15「汚れなき歌声」(「嫉妬の賛美歌」)」前回のあらすじと感想はこちら≫

『刑事モース~オックスフォード事件簿~』Case16「呪われた病棟」(「呪われたベッド」)の感想

ブライト警視正が消化性潰瘍で倒れる

病院で起こる不審な連続死。夜の病院が不気味な雰囲気でしたね。10番ベッドに入院した患者が次々と死んでいくカウリー総合病院のフォスディック病棟。 レンガの建物は病院っぽくないですね。それに救急車やナース服がレトロで、かわいい。

今回はなんとブライト警視正が倒れてしまうことに!

これにはびっくりしましたね。心臓発作かと思いきや、消化性潰瘍。確か『主任警部モース』でもモースが消化性潰瘍で吐血し、入院していましたね。 ストレスが胃にきてしまうのでしょうか…。

とりあえずサーズデイがブライト警視正の代理となりますが、電話の応対など、ストレスフルで大変そうでしたね。

ブライト警視正の入院した病棟には、囚人のベイクウェルも入院。 ベイクウェルが入院する10番ベッドは呪われていると噂に。

その噂を教えてくれたのは戦争中、 泰緬鉄道の建設に動員されていたタルボット。 泰緬鉄道と言えば、戦時中、日本軍によってタイとビルマの間に建設された鉄道として有名ですね。 映画『戦場にかける橋』でも泰緬鉄道が描かれています。

呪われた10番ベッド

10番ベッドに入院したベイクウェルは、まず殺し屋に狙われることに。 しかし、ベイクウェルは、ギャングが差し向けた殺し屋ではなく、10番ベッドにいたという理由だけで殺されることになりましたね。

ギャングが差し向けた殺し屋はトランクの中で死んでいましたが、ギャングが口封じにしくじった殺し屋を始末したのでしょうか…。 ベイクウェルの命を狙うマシューズ・ギャングはCase13「愛のコーダ」で銀行強盗をしたギャングと同じ組織のようですね。

10番ベッドに入院した患者を次々と殺していたのは看護師のジョー・ベス・ミルズでした。 看護師が何人かいて、混乱しましたが、赤毛の看護師ミルズがインスリンを注射し、患者を殺害。

看護師長のクローダはシスターと呼ばれていましたが、イギリスでは看護師長のことを「シスター」と呼ぶそうです。 何だか修道女みたいですね。

実習生のデイジーがクローダを「意地悪ババア」と呼んでいたこととオウムが「意地悪ババア」という言葉を覚えたのは関係ありそうで、関係ありませんでした。

雑役のカッパーも遺体安置所で怪しい動きをしていましたが、ただ遺体に今日あったことを話して聞かせていただけでした。 でも、遺体と話すなんて変わってましたね…。

監察医のマックス・デブリンがモースに言った「ヴァレ・ヴィジーレ vale vigile」はラテン語で、「さよなら、警官さん」というような意味だそう。

看護師長のクローダは「ディーン、誰か知ってるわよ」とドクター・パウエルのファーストネームを呼び、警告。 10番ベッドの死にはクローダとドクターパウエルが関与していると思いきや、モリーの死への復讐だとずっと気付いていたようですね。

患者が死ぬたびに残された白いスイートピーも押し花にしてとっていたクローダ。異変に気付いていたのに、自分たちの罪が暴かれるのを恐れて通報もせずにそのままにしておいたクローダも怖い…。

ドクター・パウエルのファーストネームを呼んだのも、昔、付き合っていたからでした。厳しい看護師長のクローダにも、恋に落ちた過去があるというのが意外でしたね。しかも、医療ミスをしたドクター・パウエルをかばっていたとは…。

ドクター・パウエルのミスは実習生のミスにされ、その実習生は自殺。患者を医療ミスで死なせた挙句、ミスを人になすりつけて、自殺にまで追いこんだなんて、よく医者や看護師を続けられましたね。

ドクター・パウエルがなったという「テニュア」とは終身在職権のことだそう。

モリー・キーナンにインスリンを過剰投与した上、ベルを切ってクローダとパウエルは患者のことをほったらかし、情事にふけっていたためにモリーは手遅れに…。 こんなことで子どもが死ぬなんて、許せませんね。

しかし、その罪を償わせるためだと、関係のない大勢の患者を殺した看護師のミルズも凶悪。 10番ベッドで10人も殺そうとしていたミルズ。 看護師を「白衣の天使」と言いますが、ミルズは「死の天使」でしたね。

患者が死んだあとに残される白いスイートピーも不気味。 ちなみにスイートピーの花言葉には「門出、別離、永遠の別れ」などがあるそう。

死後は血中から消えてしまうインスリンのせいで、いままで犯行がバレなかったミルズ。 いとこのモリーの死を再現するようにインスリンを注射し、スイートピーも残し、ブライト警視正まで殺そうとしていました。

ブライト警視正が10番ベッドに移ったときに嫌な予感がしましたが、10人目の犠牲者にならなくてよかったですね。

倒れた上に殺されそうになったブライト警視正ですが、回復しそうで一安心。病室でタバコを吸っていたのは驚きましたが、看護師に取り上げられることに。 移動図書室のレスターにはケント・フィンの新刊や『チャタレー夫人の恋人』をすすめられていましたね。

ケント・フィンはCase14「死を呼ぶチェス」に登場したミステリー作家。 『チャタレー夫人の恋人』は発禁処分になったこともある 1928年に発表されたイギリスの小説家D・H・ローレンスの小説です。

モースにはスーザンと婚約していた過去が

今回はモースの過去も明らかに。オックスフォードで手ひどい失恋をしたことがほのめかされていましたが、スーザンと婚約したものの結婚には至らなかったことが分かりましたね。

どうやらスーザンと結婚できなかったのは身分が違うことが原因だったよう。 スーザンの母親キャロラインはモースに辛辣でしたね。おそらくスーザンたちは上流階級で、モースは労働者階級だったことが障害になった模様。イギリスの階級社会がモースの恋の成就を阻んだようです。

その後、スーザンは法学部の部長になったヘンリーと結婚したようですね。

モースを見下すキャロラインが感じ悪い。 「巡査部長の試験も落ちた」とキャロラインに言われてしまうモース。上層部の嫌がらせで答案用紙が紛失したのに…。 娘のスーザンがモースと結婚しなくてよかったとキャロラインは心の底から思っていそう。

入院していたキャロラインの夫エドガーは亡くなり、その葬儀を遠くから見るモース。金髪の女性がスーザンのようですね。 モースの切ない過去にも一応、区切りがつけられたようです。

そして、病院では以前、付き合っていた看護師のモニカ・ヒックスとも再会。 Case9「ネバーランド」でモースが逮捕されてから、自然消滅してしまったらしいモニカとモース。

モニカに「次の人は幸せにして」と言われるモースですが、ジョアンのことは複雑になりそうですね。

ジョアンを見つけるモース

もう2か月以上も音沙汰のないジョアンを心配するウィン。 心労のせいでうつ状態になってしまったようです。

サーズデイ警部補にサンドウィッチを作る気力まで失ってしまったようで、心配ですね。 ハムとトマトのサンドウィッチはサーズデイ警部補自らが作ったようです。ちなみにハムとトマトのサンドウィッチは木曜日の具です。

一方、モースはコレクトコールを追跡し、レミントンの公衆電話を突き止め、ジョアンの住む部屋も発見。 ジョアンのモンタージュを作ったのは、モースはジョアンの写真を持っていなかったからのようです。

サーズデイ警部補にも内緒でジョアンに会いにいくモース。 ジョアンは何だか前と雰囲気が違うような…。

Case13「愛のコーダ」で起こった銀行強盗事件で、自分がつき合っていたポール・マーロックに知らず知らずのうちに勤めていた銀行の情報を漏らしていたことが、同僚のロニーの死につながったと自分を責めているジョアン。 自暴自棄になっているようで既婚者と不倫関係になっている模様。

サーズデイ警部補が知ったら、激怒するはず。相手の男の命はなさそう…。 せめて無事なことだけは両親に伝えてほしいですね。

ジョアンとモースがうまくいくときは来るのでしょうか…。

そして、今回も最後にはタロットカードが。「死」のタロットカードには、嫌な予感が…。 モースには占い通り、誰かの「死」が待ち受けているのでしょうか…。

死神 (タロット)

死神(しにがみ、 英:Death, 仏:La Mort)は、 タロットの 大アルカナに属するカードの1枚。事象のみを指して 死(し)と呼ばれる場合もある。大アルカナの22枚のカードの中でも、直接的に「 死」を取り扱い、また連想させるカードであることから伝統的に「不吉」とされ、 マルセイユ版タロット をはじめ「死」を意味する単語を記載せず無記名とする場合がある。 なお、カード番号は「 ...

今回の主な事件関係者
  • ドクター・パウエル 医師。昔、インスリンの過剰投与で少女のモリーを死なせた。
  • シスター・クローダ・マクマホン 厳しい看護師長。昔、パウエルと付き合い、医療ミスをかばう。
  • ジョー・ベス・ミルズ 赤毛の看護師で犯人。死んだモリーのいとこ。
  • エセル・ザッカリーデス 夫が10番ベッドで死んだ。タイピンが盗まれたと訴え、犯人に殺される。
  • テレンス・ベイクウェル ギャングへ不利な証言をする宝石強盗の囚人。10番ベッドで殺される。
  • マーリン卿 手の震えがある主任外科医。
  • デイジー・ベネット 実習生。パウエルと付き合う。
  • フローラ・バイロン 看護師。
  • レスター・フェイゲン カウリー総合病院のラジオと移動図書室のボランティア。

Case16「呪われた病棟」(「呪われたベッド」)で流れた曲

  • Charmaine - Mantovani
  • String Quintet in C major op.163 D.956(II.Adagio) - シューベルト
  • Glad All Over - The Dave Clark Five
  • As Time Goes - THE MANTOVANI ORCHESTRA 映画『カサブランカ』より
  • I get along without you very well - Chet Baker

『刑事モース~オックスフォード事件簿~』の登場人物・キャストについてはこちらへ>>

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