- 【最終回】『主任警部モース』シーズン8 第5話「悔恨の日」
- Inspector Morse Season8 Episode5 "The Remorseful Day"
※ネタバレしています。
【終】『主任警部モース』シーズン8 第5話「悔恨の日」のあらすじ
1年前に起こり、モースが担当したものの迷宮入りとなったイボンヌ・ハリスン殺人事件。イボンヌは看護師で、裸でベッドに縛られ、頭を殴られて殺されていた。
その後、テムズ・ヴァレー署にはイボンヌ殺しについて匿名の投書があり、ルイスは空き巣の常習犯で刑務所から出所するハリー・レップを尾行する。 しかし、ルイスはバスターミナルでレップから目を離したすきに、取り逃がしてしまう。
その後、ゴミ捨て場で、刺殺されたパディ・フリンの死体が発見される。フリンはイボンヌが殺された夜、イボンヌの夫フランクを駅で乗せたタクシー運転手だった。 そして、レップも盗難車のトランクから刺殺体で見つかる。
イボンヌの家の修繕を請け負っていた大工のジョン・バロンは、屋根の修理をするためハシゴをのぼっているとき、ハシゴが倒され、死亡する。 イボンヌ・ハリスン殺人事件の関係者が次々と殺され、モースとルイスはイボンヌ殺人事件を再捜査することになる。
警察に匿名の投書を出したのは、身の危険を感じたハリー・レップだった。レップの妻デビーによると、イボンヌが殺された夜、レップはハリスン家に盗みに入ろうとし、ジョン・バロンが入っていくのを目撃。レップはバロンが犯人だと思い、バロンをゆするが、真犯人は別にいた。
イボンヌの娘で医師のサンドラはバロンと付き合っていたが、バロンは身持ちの悪いサンドラの母親のイボンヌとも寝ていた。 それを知ったサンドラは足首のねんざで借りていた杖を使って、イボンヌの頭を殴り、殺害。
サンドラはロンドンにいる父親フランクに母親を殺してしまったことを連絡。帰宅したフランクは窓ガラスを割って、警報を鳴らして空き巣の犯行に見せかけようとしたのだった。
そして、タクシー運転手のフリンに金を渡し、着いた時には警報が鳴っていたと証言させる。
バロンはイボンヌに9時に電話した時には話し中で、9時半にもう一度電話したときには誰も出なかったと警察にウソの証言をしていた。 バロンはその証言と引き換えに金を要求。
バロンとフリン、レップは3人でフランクをゆすって金を儲けていた。 バロンはもっと分け前をよこせとうるさいフリン、レップをカッターナイフで殺害していたのだった。
バロンにゆすられ続けたフランク、サンドラ、サイモンはバロンの殺害を決意する。 フランクの隠し子だった自転車の少年ロイ・ホームズ。フランクはロイに頼んで、バロンを見張らせていた。
赤いトレーナーを着たサンドラの弟サイモンが、ハシゴに登ったバロンを殺害。 フランクはロイにハシゴには事故でぶつかったと証言させ、サイモンを釈放させたのだった。
フランク、サイモンは逮捕。カナダへ行こうとしていたサンドラも逮捕される。
モースは入院中、看護師のイボンヌと出会い、関係を持っていた。モースがイボンヌへ書いたラブレターはイボンヌ殺害現場で証拠品として押収されていた。 ストレンジ警視正はルイスに見られたくないだろうと、そのラブレターを隠すが、最後には警官として規則を破れないとルイスにラブレターを見せる。
事件の真相を突き止めたモースだったが、心臓発作を起こし、病院に搬送される。モースはストレンジに「ルイスにありがとうと伝えて」と言って息を引き取るのだった。
『主任警部モース』「オックスフォード運河の殺人」前回のあらすじと感想はこちら≫【終】『主任警部モース』シーズン8 第5話「悔恨の日」の感想
引退していなかったモース
前回、血を吐いて倒れ、引退したのかと思っていたら、刑事を続けていたモース。 しかも、懲りずにビールやウイスキーを飲んでいましたね。「考えるためにビールを飲む」と言い張り、糖尿病にもなっていたモース…。
あの1年半前の最初の発作のとき、退職させておくべきだったとストレンジは後悔。 あれから、1年半前、入院しながらも仕事を続けていたようです。
定年まであと2か月。
付き合っていたアデルはオーストラリアに住むことに。 モースも仕事を辞めて、オーストラリアに行けばよかったのに…。
新しい趣味としてバードウォッチングを始めたモースですが、スズメも見分けられないのでした…。
実は殺された看護師のイボンヌと関係を持っていたモース。自分の書いたラブレターが同僚に読まれるのは恥ずかしいですね。
しかも、イボンヌは誰とでも寝るような女性で、モースとも軽い遊びのつもりだったようです。病院の院長にまでモースの話をしていたイボンヌ。さすがにマナー違反じゃ…。 モースもとんでもない女性に恋してしまったものですね…。
ストレンジがルイスにラブレターを隠したのも、モースのためでした。 てっきり、ストレンジがイボンヌに書いた手紙かと勘違い。自分のためではなく、モースのために規則を破ろうとしたストレンジはいい友達ですね。
仲間割れで殺人が
匿名の投書でレップを尾行するルイス。まさか、ルイスのあとをつけていたのがモースだったとは意外でしたね。
レップを見失ったルイスでしたが、同じくモースもトイレのため、レップを見失うことに。2人も尾行していたのに、見失うなんて…。
しかも、モースがナンバーをメモしていた盗難車に殺人犯のバロンも殺されたフリンも乗っていたのに、見逃してしまったのは失態。
フリンはゴミ捨て場で、レップは車のトランクで死体で発見されることに。 犯人はバロン。レップの妻デビーとも、関係を持っていた女たらしのバロン…。 さらに、バロンには妻もいたというのが、驚きでしたね。
2人を殺したバロン自身も殺されることに。 バロンが2人を殺したのは、ゆすりとったお金の分け前で仲間割れしたからでした。どうしようもない奴らでしたね。
一方、バロンはいい金づるだと思っていたフランク、サンドラ、サイモンたち家族に殺されることに。レストランで意味深な会話をしていたのはバロン殺害を話し合っていたようです。レストランで殺人計画を話すなんて大胆…。
レップやフリン、バロンの3人を殺したのは、同一人物かと思いきや別々でしたね。
イボンヌを殺したのは娘だった
母親のイボンヌを殺したのは、娘のサンドラ。バロンと付き合っていたサンドラは、母親が恋人のバロンと寝ていることを知って、逆上。杖で殴り殺していました。
イボンヌは娘と付き合っていることを知っていながら、バロンと寝ていたようですね…。 看護師だったイボンヌは、患者や院長とも関係。娘のサンドラが母親を淫乱だったと軽蔑する気持ちがよく分かりますね。
バロンの方も、母親と分かっていながらイボンヌと寝るなんて、最悪。 しかも、サンドラが母親を殺したと知って、お金までゆすっていたというのが、下劣…。
一方、イボンヌの夫フランクも家政婦の間に隠し子が。 まさか、自転車の少年ロイがフランクの隠し子だったとは意外でしたね。 夫婦ともに、乱れた性生活であきれるしかない…。
バロンをハシゴから落とした実行犯は、フランクの息子サイモン。赤いトレーナーでジョギングを装い、ハシゴを倒して殺害。 普通にゴミ箱に捨てればいいのに、わざわざ着ていた赤いトレーナーをチャリティーショップの店先に置いたせいで車のナンバーからサイモンが浮上することに。
しかし、ロイが事故でハシゴにぶつかったとウソの証言をしたため、釈放に。 このときは、まさかマリファナを吸っていたロイがフランクの息子だとは思いもよりませんでしたね。
人間関係が入り組みすぎて、混乱…。
フランク、サイモン、サンドラたち家族は全員、捕まることに。しかし、そのとき、すでにモースはこの世にはいなかったというのが悲しい。ドラマの中で、たびたびレクイエム(鎮魂歌)が流れていたのは、伏線だったようです。
モース、死す
生前、モースは財産を三等分し、ヤング・ミュージシャン奨学基金、恋人だったアデル・セシル、ロバート・ルイス部長刑事に贈与する遺言を作成。
ルイスにも遺産をのこし、最期の言葉も「ルイスにありがとうと伝えて」だったモース。 気難しい自分にいつも ついてきてくれたルイスに深く感謝していたようですね。
ちなみにツアー客に間違われたときにモースがたたずんでいたマグダレン橋は、オックスフォードの歴史的建造物で、観光地になっているそうです。毎回、映し出されるオックスフォードの景観も美しかったですね。
Magdalen Bridge
Magdalen Bridge spans the divided stream of the River Cherwell just to the east of the City of Oxford, England, and next to Magdalen College, whence it gets its name and pronunciation. It connects the High Street to the west with The Plain, now a roundabout, to the east.
「ワーグナーには人生のすべてがある」と語っていたモース。
「大空を血に染めながら苦しげに太陽は沈む はるかかなた 西へ 触れることも見ることも聞くことも かなわぬ深き闇の中 悔恨の日は望みなき地下へ ただひたすらに落ちていく」
Ensanguining the skies How heavily it dies Into the west away; Past touch and sight and sound Not further to be found, How hopeless under ground Falls the remorseful day.
これは、イギリスの詩人アルフレッド・エドワード・ハウスマンの「How Clear, How Lovely Bright」という詩の一節だそうです。
ラドクリフ病院に献体し、葬儀も無用だというのが、現実的で実用的なモースらしいですね。
モースには元気になって欲しかったですが、これが最後の事件に。おそらくルイスが空いた警部になりそう。モースもルイスになら、喜んで警部の席を譲るはず。
ちなみに、『主任警部モース』のスピンオフドラマとして『オックスフォードミステリー ルイス警部』も製作されたそうです。
オックスフォードミステリー ルイス警部
オックスフォードの街にルイス警部が帰ってくる! 相棒ハサウェイと共に、複雑に入り組んだ難事件解明に挑む本格ミステリー! 本シリーズは「主任警部モース」のスピンオフ・シリーズとして制作された。
モースは亡くなってしまい悲しいですが、モースの若かりし頃を描いた『新米刑事モース ~オックスフォード事件簿~』を見ることができるのはうれしいですね。
『主任警部モース』の登場人物・キャスト
ドラマで流れた曲
- Peer Gynt Suite No.1 - エドヴァルド・グリーグ
- Parsifal Overture - リヒャルト・ワーグナー
- The Day Thou Gavest Lord Is Ended
- String Quintet in C Major, 2nd movement - フランツ・シューベルト
- Requiem, Op.48 - ガブリエル・フォーレ
- Requiem. Libera Me - ガブリエル・フォーレ
- Requiem:‘In Paradisum’- ガブリエル・フォーレ
- Parsifal– Act I Prelude - リヒャルト・ワーグナー
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