『主任警部モース』「オックスフォード運河の殺人」あらすじと感想・曲 ネタバレ注意!

海外ドラマ『主任警部モース』
  • 『主任警部モース』シーズン8 第4話「オックスフォード運河の殺人」
  • Inspector Morse Season8 Episode4 "The Wench Is Dead"

※ネタバレしています。

『主任警部モース』シーズン8 第4話「オックスフォード運河の殺人」のあらすじ

モースは血を吐いて倒れ、病院へ搬送される。検査の結果、飲みすぎが原因の重い消化性潰瘍だと診断され、しばらく入院することに。

犯罪学が専門のアメリカの大学教授ミリー・ヴァン・ビューレンはお見舞いとしてモースに自分の著書「ヴィクトリア朝時代の犯罪捜査」をプレゼント。 モースはその本に書かれている1859年に起こった「オックスフォード運河殺人事件」に興味を持つ。

1859年6月、ロンドンにいる夫チャールズ・フランクスに会うため、コベントリーからオックスフォード経由でロンドンへ向かう快速平底船バーバラ・ブレイ号に乗ったジョアナ・フランクス。 その後、ジョアナの遺体が運河に浮かんでいるのが発見され、ジョアナを殺したとして水夫4人ローリー・オールドフィールド、アルフレッド・マッソン、ウォルター・タウンズ、少年水夫トーマスが逮捕される。

少年水夫トーマスはまだ15歳で未成年、3人を有罪にするため証言台に立たせる目的もあり、起訴されなかったという。

ジョアナのトランクのひもが切られ、遺体の下着が裂けていたことから、窃盗と強姦の容疑も水夫たちにはかけられたが、起訴されたのは殺人罪だけだった。起訴された水夫3人は無実を主張するが、死刑が言い渡され、公開処刑されることになる。しかし、ウォルター・タウンズだけは信仰に目覚めたとして国務大臣の情けで死刑執行の中止が言い渡される。

モースは「オックスフォード運河殺人事件」の犯人は水夫ではないと考え、捜査を開始。 オックスフォード大学卒の警察官カーショーと共に、事件の真相に迫っていく。

モースは大きくリフォームされた青いドレスにナイフで切られた下着、船室に残されていた不釣り合いの小さい屋内用の靴、当時としては高い身長から、遺体がジョアナではなく別人だと気付く。 そして、ジョアナだとされた女性は溺死ではなく、窒息死させられていた。

「オックスフォード運河殺人事件」の真相はジョアナとチャールズ・フランクスによる保険金詐欺が目的で、水夫たちは無実だった。

ジョアナは死亡時に夫のチャールズ・フランクスが、300ポンドを受け取れるコベントリー共済組合の生命保険に加入。 ジョアナは少年水夫のトーマスを手なずけ、自分の船の乗り降りを黙っているように金貨で口封じしていた。 その金貨のせいで、トーマスは窃盗を疑われたが、裁判ではジョアナとの約束通りウソの証言をしたのだった。

ジョアナの身代わりとしてチャールズ・フランクスが殺した女性に、ジョアナの青いドレスや下着を着せ、運河に投げ込んだチャールズ。 ジョアナも同じタイミングで運河に飛び込み、誰にも見られないように岸から上がっていた。

大学教授ミリー・ヴァン・ビューレンはモースの保険金詐欺の説に納得せず、アメリカへ帰っていく。

モースはふとしたことから、ジョアナの最初の夫で死んだという奇術師のF・T・ドナバンと二番目の夫チャールズ・フランクスが同一人物だと気付く。そして、「オックスフォード運河殺人事件」のとき、土手を歩いているのを目撃された大男ドナルド・ファバントの正体もチャールズ・フランクスだった。

モースは自分の説を確かめるため、アデルと共にアイルランドへ。そこで奇術師のF・T・ドナバンの墓を掘り起こす。棺に骨はなく、奇術師のF・T・ドナバンの死も生命保険金を手に入れるための偽装だったことが分かるのだった。

診察を受けたモースは医師に仕事に戻っていいと言われるが、モースは刑事を辞めることを決意していた。

『主任警部モース』「死はわが隣人」前回のあらすじと感想はこちら≫

『主任警部モース』シーズン8 第4話「オックスフォード運河の殺人」の感想

倒れたモース

今回、ルイスは登場せず。警部昇進のため、本部へ行っているとストレンジが言っていましたね。 ルイスもついに警部になれる日が来たようですが、登場しないのは寂しいですね。

一方、モースは血を吐いて倒れてしまうことに!  ガンではなくてよかったですが、原因はアルコールの飲みすぎによる潰瘍…。事あるごとにお酒を飲んでいたことが、たたることに。

犯罪学のミリー博士の講演後、倒れてしまったモース。公開処刑の模型が動いて、実際に絞首刑が再現されているのにはゾッとしましたね。しかも、それで死ななければ、処刑係が足を引っ張って殺したというのが怖い。

それ以上に恐怖を感じるのは、公開処刑を見るために臨時列車まで出て、1万人もの人が詰めかけたということ…。昔は公開処刑が娯楽だったというのも、驚きですね。捜査もずさんで、冤罪も多そう…。 こんな話を聞くと、本当にヴィクトリア朝時代には生まれなくてよかったと思えますね。

入院したモースは、内臓がボロボロだと言われてしまうことに。 あれだけビールやウイスキーを飲んでいたら、体調を崩すのも無理ない…。

悪友のように、ウイスキーの瓶をこっそり持ってきたストレンジ! 引き出しに隠すも、医者にすぐ見つかることに。没収されないのは意外でした。

モースのことを心配してやって来た、前回の「死はわが隣人」で出会ったアデルとは、うまくいっているようでよかったですね。

100年以上前の「オックスフォード運河殺人事件」の真相

入院中でも、捜査をやめられないモース。100年以上前の「オックスフォード運河殺人事件」の真相を突き止めるのに夢中に。モースは根っからの刑事ですね。

カーショーがモースの捜査に協力することに。軽い読み物として官能小説を用意したカーショーでしたが、モースがやりこめられたと感じるほど博識でした。

スノッブというのは 上品ぶったり教養ありげに振舞ったりする、鼻持ちならない人のことを言うそう。

退院するときにモースが引用した「この地上でいかに多くの孤独な魂が純粋な友情と社会的慰めを病院で学んでいることか それを天国から眺める聖人たちは困惑しているだろう」も、E・バレット・ブラウニングの言葉だと言い当てたカーショー。モースのような優秀な刑事になりそうですね。

退院したモースの世話まで焼いてくれるカーショー。「オムレツ」がもともと薄い皿のことで、それが料理そのものに変わったというのは初めて聞きました。

オックスフォードでは、週7日働く水夫が無宗教で野蛮と思われて、信心深い学生たちと対立していたというのも、「オックスフォード運河殺人事件」の背景に。 陪審員が有罪を言い渡すように誘導し、裁判長も水夫が有罪と決めてかかっていたようでしたね。 イギリスでは、死刑判決を言い渡す時には裁判長が黒い布をかぶるのが通例だったようです。

犯人は水夫と決めつけられ、殺されたのがジョアナ本人ではないと誰も疑わなかったのでした。 保険金詐欺のために関係のない女性を殺し、罪を着せた2人の水夫は冤罪で死刑に…。

1人は死刑執行の直前で、信仰に目覚めたという理由で無期懲役になったのにもびっくりしましたね。 身に覚えのない罪で処刑されてしまったなんて、死んでも死にきれない…。

真犯人は保険金を手に入れ、逃げ切ったのに。

それにしても、昔はイギリスでも、女性の身長160センチで背が高いと言われていたんですね。1880年代の「切り裂きジャック」の被害者たちの身長も140センチ代。 栄養状態の悪さが身長が伸びない理由だったようですね。

ジョアナの死体だと確認したチャールズ・フランクスの正体は、奇術師のF・T・ドナバン。ジョアナが持っていたF・T・ドナバンのFTDのイニシャルが書かれたトランクの二重底には奇術師のF・T・ドナバンのチラシが。 まさか最初の夫F・T・ドナバンと、二番目の夫チャールズ・フランクスが同一人物だったとは…。そして、後姿を目撃されたドナルド・ファバントも同一人物!

生命保険金を手に入れるため、とんでもないトリックを考え、実行した奇術師のF・T・ドナバンと助手のジョアナ。

奇術師のF・T・ドナバンが死んだと見せかけたのも保険金を手に入れるため。夫婦そろってとんでもない詐欺師でしたね。 「オックスフォード運河殺人事件」の後も、保険金詐欺を繰り返していそう…。

『クリスマス・キャロル』で知られるチャールズ・ディケンズも犯罪現場に顔を出し、名探偵の定義を「手品師」と言ったということでしたが、モースは手品の種明かしをするように事件の真相にたどり着きましたね。

チャールズ・ディケンズ

チャールズ・ジョン・ハファム・ディケンズ( Charles John Huffam Dickens、 1812年 2月7日 - 1870年 6月9日)は、 ヴィクトリア朝時代を代表する イギリスの 小説家である。主に 下層階級を主人公とし弱者の視点で社会を 諷刺 した作品を発表した。 新聞記者を務めるかたわらに発表した作品集『』から世にでる。英国の国民作家とも評されていて、 1992年から ...

自分の推理を確かめるため、アイルランドまで行って、F・T・ドナバンの墓を掘り起こしたモース。退院しても、懲りずに大ジョッキでビールを飲むのがモースらしいですが、体が心配に…。

刑事を辞めることを拒否し続けていたモースでしたが、最後は仕事を辞めることを決意。モースが安らかに逝ってほしいとストレンジが言ったり、ホブソン監察医がモースが解剖台の上に来るかもと言ったり、モースが死んでしまうようなことを言うのがヒヤヒヤしました。

一つの終わりは一つの始まりです。終わったところから新たな旅立ちがある」とモース。

アデルともうまくいっているようなので、モースにはアルコールは控えて、クロスワードや音楽を末永く楽しんでほしいですね。 でも、モースは捜査や推理なしには満足できそうもない…。

『主任警部モース』の登場人物・キャスト

『主任警部モース』の登場人物・キャストの紹介はこちらへ≫

ドラマで流れた曲

  • Clarinet Concerto in A major K 622 - ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
  • Piano trio No. 7 in B flat major WoO 39 Allegretto - ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
  • Haydn string quartet op.64 no 5 - フランツ・ヨーゼフ・ハイドン

『主任警部モース』のエピソードリストと主な登場人物・キャストの一覧 はこちらへ≫

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