『アガサ・クリスティー 検察側の証人』の評価は? 登場人物やキャスト・あらすじと感想

※前半にネタバレはありません。

海外ドラマ『アガサ・クリスティー 検察側の証人』はイギリスのテレビ局BBCで2016年に放送された法廷サスペンスドラマ。

「ミステリの女王」と言われるイギリスの推理作家アガサ・クリスティーの短編小説「検察側の証人(原題:The Witness for the Prosecution)」をドラマ化。 短編小説「検察側の証人」は1957年にマレーネ・ディートリヒ出演で『情婦』というタイトルで映画化もされています。

1923年、イギリス ロンドンで起こった裕福な婦人の殺人事件。レナードが容疑者として逮捕され、アリバイの証言をするのは妻。レナードの弁護士ジョン・メイヒューはなんとかレナードの無実を証明しようとするが…というストーリー。原作とは異なる結末になっているそう。

レナードの弁護士ジョン・メイヒューを演じるのは、スパイ映画『裏切りのサーカス』やドラマ『SHERLOCK』シーズン4の第2話に出演したトビー・ジョーンズ

殺されてしまう裕福な婦人エミリー・フレンチを演じるのは、 『セックス・アンド・ザ・シティ』のサマンサ・ジョーンズ役で知られるキム・キャトラル

『検察側の証人』は全2話です。

2015年からBBCでドラマ化されているアガサ・クリスティーの小説をもとにしたドラマはサラ・フェルプスが脚本を担当しています。

『アガサ・クリスティー 検察側の証人』の評価

  • IMDbの点数 7.0(3,193人の評価)
  • ロッテン・トマトの評価 100%

なかなかの高評価のようです。

IMDbの点数の目安

海外大手映画データベースIMDb(インターネット・ムービー・データベース)の点数は10点満点評価。IMDbユーザーがつけた平均点が表示されます。感覚的には、評価の人数が多く、6.5点以上ならまあまあ、7点台なら楽しめる作品、8点以上は傑作になっていると思います。

ロッテン・トマトの評価の見方

プロの評論家によるレビューサイト「ロッテン・トマト」では、良い評価が60%を下回ると腐った緑色のトマトのマーク、 良い評価が60%以上の作品には新鮮な真っ赤なトマトのマークがつけられます。

さらに良い評価が70%以上で、厳しい条件を満たした作品にはCertified Fresh(新鮮保証)というマークが付けられています。

※ここから『アガサ・クリスティー 検察側の証人』のネタバレがあります。注意してください。

『アガサ・クリスティー 検察側の証人』前編のあらすじ

1923年8月、戦争後 仕事の続かないレナード・ヴォールはウエイターをクビになったところを、裕福な未亡人のエミリー・フレンチ夫人に拾われ、若いツバメとして雇われていた。

10月28日の午後9時半、家政婦のジャネット・マッキンタイアーが撲殺されているエミリー・フレンチ夫人を発見。 家政婦のジャネットは家から出ていく男の姿を目撃。犯人はレナードだと証言する。 家政婦のジャネットによると、エミリー・フレンチ夫人は出会って3か月でレナードを全財産の相続人にする遺言書を書いたが、レナードに妻がいることを知ったために、殺されたと言う。

レナードは結婚はしていないが、内縁の妻でオーストリア人の女優ロメインと暮らしていた。 弁護士のジョン・メイヒューは逮捕されたレナードの弁護士となり、無実を主張するレナードを信じる。

レナードを嫌っていた家政婦のジャネットは、エミリー・フレンチ夫人に執着し、レナードを絞首台送りにしたいと息巻く。

弁護士のジョン・メイヒューはレナードの内縁の妻ロメインが犯行時刻である午後9時半にレナードと一緒だったというアリバイを信じていたが、ロメインは急に証言を翻し、検察側の証人になったという。 レナードは午後9時半よりずっと後に帰宅し、シャツが血まみれだったため焼いたとロメインは検察側に供述していた。

女優であるロメインの歌声にすっかり魅了されていた弁護士のジョン・メイヒューは、レナードを絞首台送りにしようとする冷酷なロメインに愕然とするのだった。

弁護士のジョン・メイヒューは、息子を亡くした毒ガスの影響でせきこみ、血を吐く。そんな中、怪しげな人影が見える。

『検察側の証人』の登場人物

※年齢は2019年6月現在のものです。
ジョン・メイヒュー

事務弁護士。妻はアリス。殺人容疑で逮捕されたレナードの無実を信じ、無実を証明しようとする。毒ガスの影響によるせきに悩まされている。

演じているのは…

トビー・ジョーンズ(Toby Jones)

1967年9月7日、イギリス オックスフォード生まれ。身長163㎝。年齢51歳。

『ハリーポッター』シリーズで、しもべ屋敷妖精ドビーの声を担当。スパイ映画『裏切りのサーカス』、ドラマ『SHERLOCK/シャーロック』シーズン4には悪役のカルヴァートン・スミス役で出演。

レナード・ヴォール

エミリー・フレンチ殺害容疑で逮捕される。エミリー・フレンチの若いツバメだった。ロメインは内縁の妻。

演じているのは…

ビリー・ハウル (Billy Howle)

1989年11月7日、イギリス スタッフォードシャー生まれ。身長183㎝。年齢29歳。

クリストファー・ノーラン監督の戦争映画『ダンケルク』に出演。 2018年の映画『追想』ではシアーシャ・ローナンの相手役を演じ、プラダのモデルとしても活躍。

ロメイン・ハイルガー

レナードの内縁の妻。オーストリア出身の女優。

演じているのは…

アンドレア・ライズブロー ライズバラと表記されることも (Andrea Riseborough)

1981年11月20日、イギリス ノーザンバーランド生まれ。身長166㎝。年齢37歳。

トム・クルーズ主演のSF映画『オブリビオン』やアカデミー賞受賞の映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』などに出演。

エミリー・フレンチ

何者かに撲殺された。裕福な未亡人で、レナードを若いツバメとして雇い、貢いでいた。全財産をレナードに遺すという遺言書を書いていた。

演じているのは…

キム・キャトラル (Kim Cattrall)

1956年8月21日、イギリス リバプール生まれ。身長169㎝。年齢62歳。

ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』でPR会社の社長サマンサ・ジョーンズを演じ、有名に。

ジャネット・マッキンタイアー

エミリー・フレンチ夫人の家政婦。夫人に執着し、レナードを嫌っていた。

演じているのは…

モニカ・ドーラン  ドランと表記されることも(Monica Dolan)

1969年3月15日、イギリス ノースヨークシャー生まれ。身長不明。年齢50歳。

アクション映画『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』やドラマ『私立探偵ストライク』、アンソロジーSFドラマ『ブラック・ミラー』などに出演。

『アガサ・クリスティー 検察側の証人』前編の感想

レトロな雰囲気で、霧が幻想的。 時代は第一世界大戦後の1923年。殺人容疑で逮捕されたレナードは、戦争後、軍から普通の生活に戻るのに苦労していたようですね。 レナードの内縁の妻ロメインは、敵国のオーストリア人ということで皆に嫌われているという、戦争の影響がまだ色濃く残っているのが分かりますね。

エミリー・フレンチ夫人に誘惑され、5ポンドのお金のために若いツバメになったレナード。 1920年代の通貨を現代の貨幣価値に換算するのは難しいようですが、5ポンドは大体12万円ぐらいになるようです。これで「ただの話し相手だった」は、ないですね…。

仕事でエミリー・フレンチ夫人を楽しませ、奉仕していたというレナード。レナードに迫るエミリー・フレンチ夫人の迫力がすごかったですね。

エミリー・フレンチ夫人を演じているのは、『セックス・アンド・ザ・シティ』のサマンサ役で知られるキム・キャトラル。 肉食女子のサマンサを思わせる誘惑ぶりでしたね。

一目でレナードを気に入ったエミリー・フレンチ夫人。2週間で飽きると思われていましたが、3か月も続いた関係。 10月28日に、エミリー・フレンチ夫人が撲殺され、レナードが犯人として逮捕されることに。

エミリー・フレンチ夫人の飼い猫のミミが手についた血を舐めるシーンに、ゾッとしました…。

殺人容疑で逮捕されたレナードは無実を訴える

レナードに入れあげたエミリー・フレンチ夫人は、レナードに全財産を相続させるという遺言状まで書いていたことが発覚。 家政婦の証言と、シャツも焼いており、状況証拠ではレナードが不利に。

逮捕時の警察の暴行がひどい。いきなり警棒で殴りつけるなんて。しかも、拘置所の環境は劣悪。 昔の警察では暴行は日常茶飯事だったようで、おそろしい…。

家政婦から見たレナードは、エミリー・フレンチ夫人をたぶらかす悪党。庶民の服装から、身なりの良い紳士の服装に大変身。 無実を訴えるレナードとは印象が全く違いましたね。

弁護士のジョン・メイヒューに無実を懸命に訴えるレナードは、冷酷な殺人犯には見えませんが、本当にレナードは無実なのでしょうか…。 家政婦のジャネットは家を出ていくところを遠くから見ただけでレナードの顔は見ていない模様。

レナードの無実を信じる弁護士のジョン・メイヒュー

弁護士のジョン・メイヒューは、17歳直前で毒ガスで死んだ息子とレナードを重ね合わせ、無実を証明しようとしているようです。 自分も毒ガスの後遺症でせき込む毎日。

妻のアリスも死んだ息子の部屋で悲しんでいましたね。縫い針で自分の指を刺すシーンは、息子の死の痛みになんとか耐えるためだったようです。

それにしても、妻にスカーフをプレゼントし、いきなり激しいベッドシーンになったときには、びっくり!  しかし、それもせき込みで中断…。

レナードの裁判が開始

イギリスでは、事務弁護士と法廷弁護士がわかれており、法廷に弁護人として立つのは法廷弁護士。レナードの法廷弁護士にはカーター・チャールズ卿が。

貴族であっても、エミリー・フレンチ夫人の多額の遺産として残されたお金の魅力には抗えなかったのでした。

法廷弁護士 - Wikipedia

法廷弁護士( ほうていべんごし)又は バリスター( 英:barrister)(地域によっては(英:advocate))は、主にイギリスなど一部の 英米法( コモン・ロー)諸国において、 法廷での弁論、 証拠調べ等をについての職務を独占する 弁護士である。現在では統合されつつあるものの、これらの国では、法廷弁護士と事務弁護士(ソリシター、solicitor)との間で分業が行われている。事務弁護士は、依頼人から直接依頼を受け、法的アドバイスや法廷外の訴訟活動を行うのに対し、法廷弁護士は、依頼人に法廷での弁論が必要になったときに、事務弁護士からの委任を受けて初めて事件に関与する。また、事務弁護士が、法律的な論点についての専門的助言を得るために法廷弁護士に依頼することもある。

イギリスの裁判と言えば、裁判官も弁護人も検察もカツラをかぶっているのが特徴的ですね。

レナードの裁判が開始。殺人で有罪となれば、絞首刑に。イギリスでは1998年に完全に廃止されるまで、絞首刑が行われていたそう。

レナードの妻ロメインが証言を翻す

レナードの内縁の妻ロメインは、レナードのアリバイを証言する唯一の弁護側の証人となるはずが、一転、検察側の証人に!

清楚で美しい女優でレナードを支えようとする女性のイメージからガラッと変わり、いきなり冷淡な悪女になってびっくり。 いじめを受けるかわいそうだったロメインは、スキャンダルによって劇場では主役の座に。

スキャンダルで主役になれるというのが、時代を感じますね。今なら、炎上して降板させられそう…。

急に証言を変えたロメイン。レナードのアリバイが崩れただけでなく、血まみれのシャツを焼いていたとまで証言。この証言は真実なのか、それとも、自分を裏切っていたレナードへの仕返しで証言したのかが気になりますね。

弁護士のジョン・メイヒューも、ロメインに「罪の意識が顔に出てる。だから、あなたを傷つけるのはたやすい」とまで言われ、こてんぱんにされてしまいました。 ロメインの歌に魅了され、涙まで流していたジョン・メイヒュー…。

ロメインの豹変ぶりには驚かされるばかり。 ロメインがショーで歌っていた歌は「Let Me Call You Sweetheart」という歌だそう。

Bing Crosby - Let Me Call You Sweetheart (1934)

Remake of an earlier #2 hit for Arthur Clough in May 1911 and #1 for Henry Burr and the Peerless Quartet in November 1911 (a version I have also posted). Also #66 for Timi Yuro in February 1962 (#15 Adult Contemporary). Recorded August 8, 1934. Written by Leo Friedman and Beth Slater Whitson.

弁護士のジョン・メイヒューの事務所(?)には怪しい人影が。 ロメインに嫌がらせしていたクリスティーナの相手の男もなんだか怪しかったですね。 家政婦が出ていくところを見た男は、本当にレナードだったのでしょうか…。

レナードは無実なのか、殺人犯なのかは今のところ不明。 指紋など物的証拠はないようですね。 でも、状況証拠だけ見るとレナードが一番怪しいのは間違いない。

魔性の女ロメインの証言でレナードは絞首台送りとなってしまうのでしょうか…。それとも、また意外な展開が待っているのでしょうか…。 後編が楽しみですね。

『アガサ・クリスティー 検察側の証人』後編のあらすじ

エミリー・フレンチ夫人殺害容疑で裁判にかけられることになったレナード。 内縁の妻ロメインは、検察側の証人となり、事件の夜、レナードは午後10時10分に血まみれのシャツで帰宅し、笑みを浮かべ、俺は金持ちになったと言ったと証言する。

レナードの無実を信じる弁護士のジョン・メイヒューは、「彼女を破滅させたければ真夜中にライムハウスに来い」という手紙を受け取る。ライムハウスには顔が焼けただれた女性が。その女性はロメインと同じ舞台に立っていた女優のクリスティーン・モファットだという。

クリスティーンはロメインに煮えた砂糖水を顔にかけられ、恋人マックスも横取りされたと語る。 クリスティーンは、マックスに宛ててロメインが書いた手紙を手に入れていた。そして、ロメインを破滅させてほしいと弁護士のジョン・メイヒューにその手紙を売る。 ジョンは妻と亡き息子の思い出に誓って残りの金を後で払うと約束する。

愛人のマックスへの手紙には、罪なきレナードが有罪になれば、マックスと一緒になることができると赤裸々につづられていた。さらに、ロメイン・ハイルガーのハイルガーという名字は夫のもので、ロメインは昔、結婚していたことまで明らかになる。

この証拠で、一転、弁護側が優勢に。レナードは無罪となり、ロメインは偽証罪で刑務所行きになる。

エミリー・フレンチ夫人の遺産を相続したレナードは、フレンチ夫人の家を売ってほしいとジョンに頼む。 ジョンはその家の池で猫の死骸を発見。

事件の夜、袖口に血がついていたが、手はきれいだった家政婦のジャネット。 ジョンは家政婦が猫を溺死させ、さらに、エミリー・フレンチ夫人を殺したのもジャネットに違いないと刑事に示唆する。

夫人の血を舐める猫にカッとなって猫を殺したことは認めるジャネットだったが、夫人の殺害は否定。 しかし、ジャネットはエミリー・フレンチ夫人殺害で絞首刑となる。

その後、一躍、有名弁護士になり、お金持ちとなった弁護士のジョン・メイヒュー。 ジョンは妻のアリスとフランスのル・トゥケへ旅行に。 ジョンはそこで結婚したばかりのレナードを見かけ、お祝いにシャンパンを差し入れに。しかし、レナードが結婚した相手は刑期を終えたロメインだった。

ロメインはエミリー・フレンチ夫人を殺害したレナードを無実にするため、芝居をしていたことが発覚。 顔が焼けただれたクリスティーン・モファットは、実はロメインのメイク。 実際のクリスティーンは妊娠して引退していただけ。

マックスという愛人がいたのも、ハイルガーと結婚して夫がいたというのもウソ。すべてはレナードを無罪にするための演技だったことが明らかになる。 真実を知り愕然とするジョンに、レナードとロメインはジョンも家政婦ジャネットを死に追いやった同じ化け物だと指摘する。

ジョンは妻のアリスに、すべてはアリスに愛してもらうためだったと言い、無理やり迫る。 アリスは父と子で戦争に行くと年を偽らせ、息子が死んで帰ってこなかったことを決して許さないと宣言する。 絶望したジョンは海へ入り、入水自殺するのだった。

『アガサ・クリスティー 検察側の証人』後編の感想

なんとレナードこそが冷酷な殺人犯だったと発覚。 それ以上に驚愕なのが、妻ロメインの演技。

レナードを無罪にするため、自ら憎まれ役の外国人の性悪女を演じて見せたロメイン。 ロメインの手紙が明らかになったときと、レナードが真犯人でロメインの演技で皆が騙されていたという2回もどんでん返しが!

レナードの妻ロメインの壮大な演技

エミリー・フレンチ夫人殺害で裁判にかけられたレナードは最初、圧倒的に不利。

検察側の証人になったロメインは1914年にドイツが侵攻したときベルギーのリエージュに。ベルギーでは虐殺が行われ、ロメインの両親も犠牲に。

リエージュの戦い - Wikipedia

リエージュの戦い(リエージュのたたかい、Battle of Liège, 1914年8月5日 - 8月16日)は、第一次世界大戦の西部戦線の緒戦における重要な戦いの1つ。 シュリーフェン・プランに基づいてベルギーを侵略したドイツ帝国軍が、ベルギー東部の重要都市リエージュの要塞を攻略した。小国ベルギーの陸軍は勇敢に抵抗したが、ドイツ軍の予定表を2日遅らせたのみにとどまった[2]。またリエージュの戦いはエーリヒ・ルーデンドルフが最初に名声を得た戦いでもあった。

終戦間際の1918年にレナードと出会ったというロメイン。爆撃される中、レナードが逃げ込んだ先で出会ったのがロメインでした。このころから、2人は戦争をくぐり抜けたということで強い絆で結ばれていたのでしょうか…。

検察側の証人となったロメインは最初、レナードが血まみれのシャツで午後10時10分に帰宅したと証言。 これでレナードの有罪も確実になってしまうと思いきや、弁護士のジョンに手紙が。 ジョンにつきまとう人影はクリスティーン・モファットのフリをしたロメインだったようです。

ロメインがなりすましたクリスティーン・モファットはロメインをいじめていた舞台女優。 実際は、妊娠して引退していたクリスティーン・モファット。

ロメインはメイクで煮えた砂糖水で顔を潰されたクリスティーン・モファットに変身。 まさか、ロメインがクリスティーン・モファットになりすましていたとは…。 さすが女優のロメイン。演技はお手の物でしたね。

弁護士まで手玉に取るロメイン。 手紙で裁判の形勢は逆転。すべてロメインが考えたシナリオ通りに。

ロメインの愛人へ宛てた手紙も生々しく本物みたいでしたね。 「罪なき子羊だけれど、子羊の肉以上に美味なるものはない」という手紙の一説でレナードの無実が証明されることに。

検察側の有力な証人が一転して、夫をハメようとする悪女に。弁護士のジョンを罵り、法廷でも真に迫る演技で、全員を欺いたロメイン。 自分が偽証罪で刑務所行きになることも知りながら、レナードを無実にしたというのには驚きですね。レナードはロメインを裏切って、遺産を持って、どこかへ逃げたかもしれないのに。 留置場で猫のような声で威嚇するロメインにはびっくりしました。

ロメインとレナードは初めから共犯関係だった模様。血まみれのシャツのままのレナードと愛し合うロメイン…。最初から2人で夫人を遺産目当てで殺すことを計画していたようです。 冷酷な殺人カップルだったレナードとロメイン。冷酷でサイコパスな2人はお似合いですね…。

真相がわかった時は、背筋がゾッとしました。

家政婦のジャネットに金銭的に支援をしたいと言っていたレナード。やさしいところのある青年だと思ったら、残酷なところを覆い隠すためだったのか、罪悪感が少しでもあったのでしょうか…。

無実の家政婦ジャネットは冤罪で絞首刑に

気管支炎で入院することになった弁護士のジョンでしたが、回復し、一躍、有名弁護士に。ボロボロの事務所から大きな事務所になり、他の弁護士からも尊敬されるように。 レナードの裁判でジョンの人生も大きく変わりましたね。レナードから腕時計までプレゼントされ、大満足のジョン。

エミリー・フレンチ夫人の家を売るように頼まれたジョンは、その家の池で猫の死体を発見。 血を舐める姿が印象的だった猫は家政婦のジャネットによって、溺死させられていたのでした…。

まさか猫も殺されていたなんて。ただ外に逃がしただけかと思っていたのに。猫の死体がリアルで、ゾッとしますね。

そのせいで、エミリー・フレンチ夫人殺害の容疑までかけられてしまったジャネット。 裁判の結果、有罪に。エミリー・フレンチ夫人を愛していたというジャネット。ジャネットを夫人を愛する同性愛者にして弁護しようとしていたジョンですが、ジャネットは本当に同性愛的な意味で夫人を愛していたのでしょうか…。

袖口が血まみれで、手がきれいだったのは猫を池で溺死させたせいだったとのジョンの指摘がきっかけで、ジャネットは犯人にされ、絞首刑に。 裁判官が黒い布を頭の上に乗せるのは、絞首刑を言い渡すときの慣例だったようですね。

無実だったジャネットまで犠牲になったのが、残酷すぎる…。 しかも、それは弁護士のジョンが推し進めたため。

真犯人のレナードが無罪になっていたも驚きでしたが、無実のジャネットまで冤罪で殺されてしまったという事実には愕然とするしかありませんね。

自分の犯した罪に耐え切れず自殺するジョン・メイヒュー

せきこんでばかりで、地味な弁護士だったジョンはレナードの事件で名声と富を得て、幸せに見えましたが、実は欲しいものは何も手にしていなかったことが判明。

フランス ル・トゥケに妻のアリスと共に旅行に来ていたジョン。 そこで驚愕の真実を知ってしまい、打ちのめされることに。まさか、すべてロメインのお芝居にだまされているとは思いもよらなかったジョン。クリスティーン・モファットになりすましていたロメインに払うと約束した金も払っていなかったのでした。

妻と亡き息子の思い出にも誓ったのに…。 裁判の勝利に酔いしれて、すっかり忘れていたのでしょうか…。亡き息子の思い出にも誓ったのにかかわらず、忘れていたというのが、軽々しすぎる気が。妻が許せないのも、こういうところなのかも…。

自分たちの残酷さだけでなく、家政婦のジャネットを死に追いやったジョン自身の残酷さまで突きつけるロメインとレナード。 ジョンに「人殺し」と言われ、「戦争ではもっと殺した」と言い返すレナード。ロメインも戦争で両親を虐殺された過去が。 戦争がレナードとロメインをこんな残酷な人間に変えてしまったのでしょうか…。

「若者たちを殺戮に駆り出して、生きて戻ってこられただけで感謝しろって言われてもね」というロメイン。 殺人は許されませんが、悲惨な戦争が事件の背景となってしまったようです。

ジョンがレナードを無罪にしたかったのは、自分の罪を消したかったから。ジョンの罪とは、父と子で戦争に行くため、息子に年を偽らせ、その息子が戦争で死んだこと。 まさか、年まで偽らせて息子を戦争に連れていっていたとは…。妻のアリスが夫のジョンを許せないのも無理ないですね。

夫のジョンをかいがいしく世話するアリスは、実はずっと夫を許せずにいたという本音が。 ジョンを支えるおとなしい妻だとばかり思っていたアリス。夫がせきこむときに、指に針を刺していたのは、息子を失った悲しみだけでなく、息子を死に追いやった夫への怒りを抑えるためだったのかもしれませんね。

アリスに許してもらおう、愛してもらおうとすべてをしてきたというジョン。そんなアリスに「相手が必要な時は外でさがして」とまで嫌悪され、アリスのためにしてきたと思っていたことは無駄だったと悟るのでした。

息子を戦争で失ったことを、レナードを無罪にすることであがなおうとしたジョン。 すべては無駄だったと言われてしまうジョンがやるせないですね。でも、最愛の息子を奪われたアリスの気持ちも理解できる…。

レナードと正式に結婚したロメインは相続人に。 「飽きられないことね」と言うロメインが怖い。策士のロメインなら、レナードを殺してまんまと財産を手に入れることも簡単そうなのでした…。

事件の真相を知り、妻のアリスも失ったジョンは、海で入水自殺。 ロメインがショーで乗って歌っていた三日月が出る中、自殺するジョンには寂寥感を感じます。息子を死なせた罪をあがなおうとするあまり、罪を増やしてしまったジョン…。

ジョンの自殺で幕を閉じたストーリー。ジョンの息子の死など、戦争の後ろ暗い影が色濃く反映されていましたね。

最後に流れるロメインが歌う「Let Me Call You Sweetheart」という曲はラブソングなのに、なんとも薄ら寒く聞こえるのでした…。

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