- 『マンハント:謎の連続爆弾魔ユナボマー』第5話「告発」
- Manhunt: UNABOMBER Episode5 "Abri"
※ネタバレしています。
『マンハント:謎の連続爆弾魔ユナボマー』第5話「告発」のあらすじ
ユナボマーの声明文が新聞に掲載され、デヴィッド・カジンスキーは声明文がデヴィッドの兄テッドからの手紙に似ていると妻のリンダに指摘される。
デヴィッドは兄はユナボマーではないと否定するが、悩んだ末、弁護士のアントニーに相談。デヴィッドは変わりものの兄が犯人扱いされ、FBIに殺されることを心配していた。 弁護士のアントニーは手紙を匿名でユナボマー捜査本部に送り、内密案件として分析してもらうことを提案する。
その手紙は鑑識の分析の結果、声明文が書かれたタイプライターとは違うタイプライターが使われているとして、無関係とされてしまう。 しかし、手紙を読んだタビーは使われている言葉が声明文とそっくりであることに気付き、3か月前に捜査本部を外されたフィッツに連絡。
フィッツは手紙を書いたのはユナボマーだと確信する。 タビーは命令に背き、内密案件ということを無視して弁護士のアントニーの電話番号からデヴィッドの住所を聞き出す。
タビーから住所を聞いたフィッツはデヴィッドに会いに行き、プロファイリングとデヴィッドの兄テッドが一致することを示す。 デヴィッドの兄テッド・カジンスキーは現在、モンタナの森の中で原始的な自給自足の生活をしていた。
デヴィッドと母親は、30年前からのテッドの手紙をフィッツに提供。 ユナボマーの捜査に取りつかれ、妻に家を追い出されたフィッツは言語学者のナタリーと共にテッドの手紙を細かく分析。
フィッツは捜査本部に乗り込み、ユナボマーはテッド・カジンスキーだと説明。 言語だけでなく、手紙に書かれたテッドの行動は爆破事件が起こった場所と一致していた。
アッカーマンはテッド・カジンスキーを第一容疑者と決め、モンタナの山小屋を見張るように指示。 FBIの2人組はバードウォッチャーのふりをして、テッドの山小屋を見張るのだった。
『マンハント:謎の連続爆弾魔ユナボマー』第4話「掲載か爆破か」 前回のあらすじと感想はこちら≫『マンハント:謎の連続爆弾魔ユナボマー』第5話「告発」の感想
声明文からユナボマーの正体が発覚
ユナボマーがテッド・カジンスキーだと気付いたのは、テッドの弟デヴィッドの妻リンダでした。
テッドが手紙を23ページも送ってくることもびっくりでしたが、FBIの分析では当初、その手紙が関連なしと結論付けられていたことにも驚きました。 もし、タビーが手紙を読まなければ、捜査からこぼれ落ちたまま、ユナボマーは見つからなかったかもしれませんね。
タビーのおかげでテッド・カジンスキーにたどり着いたにもかかわらず、命令に背いたとしてタビーはクビにされてしまったようです。
フィッツにないがしろにされたタビーが気の毒すぎる…。 しかも、フィッツはタビーのおかげでテッド・カジンスキーにたどり着けたというのに、タビーが命令に背いたのが悪いと言わんばかり。
フィッツはユナボマーに取りつかれ、妻やナタリー、タビーたち女性たちの気持ちを無視。
子どもが描いてくれた絵までメモ代わりにして破いてしまうシーンは、家族よりもユナボマーが優先ということをはっきりと示していて、つらい…。
ユナボマーの正体を突き止めるため、デヴィッドの家を訪ねるフィッツ。
爆弾犯のユナボマーは天涯孤独で、誰からも愛されていないような人物を想像していましたが、心配する弟も母親もいたのが意外でした。
弟のデヴィッドはルビーリッジのようにFBIに殺されないか兄を心配。
ルビーリッジ事件とは1992年にアイダホ州ルビーリッジの山小屋で起こった事件です。
終末論を信じるウィーバー夫婦と子どもは山小屋で暮らしていましたが、夫のランディは白人至上主義団体の情報を得るため、FBIがおとり捜査で逮捕。 しかし、ランディは情報を話すことを拒否し、裁判所への出頭も拒否。
FBIの監視下に置かれたランディでしたが、犬がFBIの気配に気付き、その犬を追ったランディの14歳の息子サミーとウィーバー一家の友人ケビンとFBIの間で銃撃戦が発生。 息子のサミーと犬、捜査官が1名死亡する事態に。
その後、ランディと妻のヴィッキー、16歳の娘と赤ちゃん、ケビンが山小屋に立てこもり、籠城。 息子サミーの遺体を回収しようとしたところをFBIが銃撃し、腕に赤ちゃんを抱いていたヴィッキーをFBIが射殺。
一週間後、ランディたちは投降したという事件です。
このルビーリッジ事件では、サミーや赤ちゃんを抱っこしていたヴィッキーが射殺されたことが非難され、FBIの信用が失墜する事態になっています。
デヴィッドは山小屋に住む兄が追い詰められ、ルビーリッジ事件のような悲劇につながることをおそれていたのでした。
デヴィッドは兄が変わり者であることを受け入れ、決して兄の生き方を否定していないところがすごいですね。
ユナボマーは天才的な頭脳を持っていましたが、人付き合いは苦手。 フラれた腹いせに、職場に大量のポエムを貼り付けるところに、ユナボマーの片鱗が…。
デヴィッドに兄がユナボマーだと説明するときにフィッツが言った「ユナボマーのことは知ってます。自分自身と同じくらい」という言葉にドキッとしました。 フィッツはユナボマーのことをに心酔しすぎて、自分を見失っているようです。
それにしても、ユナボマーの印象的な似顔絵が別人のものだったとは驚き! 最初の似顔絵を描いた画家の顔とユナボマーの顔が混ざったものが、似顔絵になっていたのでした。 人間の記憶は時間が経つうちに、奇妙に変わってしまうものなんですね。
山小屋に暮らすユナボマー
ユナボマーことテッド・カジンスキーが住む山小屋は完璧な数学的比率で設計されたもの。確かに、山小屋のフォルムはすっきりとして、美しく、かわいらしい。 まさかこんな美しい森に爆弾犯が住んでいるとは…。
弟にも母親にも愛され、心配されているのに、なぜテッドは爆弾犯になってしまったのでしょうか…。
優秀な博士論文は難解すぎて理解できるのは世界に数人という並外れた頭脳を持っていたなら、爆弾犯にならずに山小屋で数学を研究することもできたはず。世間に居場所がないと感じていたのでしょうか。
テッドの母親が言っていたように、「どこで間違えたの?」という疑問が渦巻きますね。
テッドが書いた手紙を手に入れたフィッツはおもちゃを手に入れた子どものように熱中。 言語分析だけでなく、手紙に書かれたテッドの行動も爆破事件があった場所に一致しました。
ついにユナボマーの正体であるテッド・カジンスキーを突き止めたフィッツ。しかし、妻や相棒のタビーに、捜査に協力してくれたナタリーを次々と失望させる結果に。 ユナボマーにのめり込んでいくフィッツはユナボマーと同じようにどんどん孤独になっていくようで心配ですね。