- 『マンハント:謎の連続爆弾魔ユナボマー』第6話「テッドという人間」
- Manhunt: UNABOMBER Episode6 "Ted"
※ネタバレしています。
『マンハント:謎の連続爆弾魔ユナボマー』第6話「テッドという人間」のあらすじ
1995年、ユナボマーことテッド・カジンスキーはモンタナ州リンカーン郡の森の山小屋で暮らしていた。
テッドは図書館のテレサやテレサの息子ティミーと親しくし、テッドはティミーから誕生日パーティに招待される。
そんな中、テッドは弟デヴィッドに手紙を書き、自分の過去について語り始める。1953年、少年時代のテッドは飛び級をし、孤独だったが、ダグという少年と友人に。 しかし、ダグは女の子と付き合い始め、友人関係はひどい形で終わってしまう。
そして、16歳でハーバード大学に通い始めたテッドは心理学の教授であるヘンリー・マリー教授の実験に参加。
テッドは話を聞いて自分を理解してくれたマリー教授を尊敬し、心を開いたが、マリー教授はテッドをCIAのマインドコントロールプロジェクトの被験者の一人として扱い、大勢の前でテッドのことを侮辱し、人格を破壊していく。
テッドは53歳になった今もマリー教授にされたことがフラッシュバックし、言いようのない怒りにさいなまれていた。
テッドは弟デヴィッドも含め、周りの人たち全員に裏切られたと感じるように。 テッドは家族を持つ普通の人に憧れ、未来は変えられるかもしれないと、ティミーの誕生日パーティへに行く。
テッドはプレゼントするため作った小さな楽器を渡そうとするが、ティミーには電子ピアノのキーボードがプレゼントされていた。
山小屋に帰ったテッドはプレゼントのため作った楽器や弟デヴィッドの結婚写真を燃やし、作った爆弾をベッドの下へ隠す。 そして、私の人生はこうなるはずじゃなかったとテッドはベッドの上で横たわるのだった。
『マンハント:謎の連続爆弾魔ユナボマー』第5話「告発」 前回のあらすじと感想はこちら≫『マンハント:謎の連続爆弾魔ユナボマー』第6話「テッドという人間」の感想
孤独なテッドの少年時代
山小屋に暮らすユナボマーことテッド・カジンスキー。 自給自足の生活で、水浴びするときにはクマとも遭遇する生活!
誰とも話さず、山小屋でずっとひとりきりで過ごしていると思いきや、図書館のテレサやテレサの息子ティミーとはいい関係を築いていたようです。
テレサはまさかテッドがユナボマーだとは思いもよらなかったよう。 ユナボマーの声明文は人々の共感を呼び、疎外感を抱いてきたテッドは尊敬を得ることができたと感じたようです。
弟デヴィッドへの手紙で自分の人生を語り始めるテッド。 「世界を窓の向こう側から見ている気分だった」という強烈な疎外感と孤独が見ていてつらい…。
少年時代のテッドは2年も飛び級をするほど頭が良かったものの、人間環境は苦手。 そんな中、同じように飛び級をしたダグと友達になり、子どもらしく原始人ごっこをして遊ぶように。
それが続けばよかったですが、ダグに彼女ができたことで、友人関係は終わり、テッドはダグに手紙爆弾を送りつけるという手段に!! すでに爆弾魔の兆候が出始めているのが怖い…。
テッドはダグにそんなひどいことをしたのに、ダグがまた友達に戻ってくれると期待していたようです。 「他人が何を考えているのか理解できない」と言っていましたが、テッドは発達障害だったのでしょうか…。 自傷行為までする少年のテッドがかわいそうになりますね。
CIAの恐ろしい実験の被験者にされたテッド
16歳でハーバード大学に通うことになったテッド。 ハーバード大学のマリー教授がテッドの理解者になったと思いきや、マリー教授はテッドを恐ろしい実験の実験台として利用していたことが発覚。
マリー教授のことをキリストに例えるほど崇拝していたテッドがどれほどのショックを受けたか考えるだけで、ひどい。
電気イスに縛り付け、隠し撮りした映像を見せ、テッドのことを徹底的に侮辱するマリー教授たち。 それはソ連のスパイに対して用いられる洗脳技術で、人格を永久的に破壊し、核となる考えを変えるCIAのマインドコントロールプロジェクトでした。
CIAがこんな拷問のような非人道的な実験を大学生に行っていたとは! しかも、被験者はテッドだけではなく、他にも大勢の学生が犠牲に。
テッドはまだ16歳。マリー教授は1年かけてテッドの心を開かせ、2年かけてテッドを破壊。 あんな屈辱的なことを2年もされたら、誰だっておかしくなってしまう…。
ちなみにテッドが考えを模倣していると言われたジャック・エリュールはフランスの思想家で、テクノロジー批判や文明批評を展開していたそうです。
ユナボマーはCIAの恐ろしい実験が生み出した怪物だったのかもしれませんね。 恐ろしい実験を行った人たちが裁かれることもなく、のうのうと暮らしていることも怖い…。
テッドは53歳になっても、おぞましい実験がトラウマに。 そのせいで、母親や弟デヴィッドからも裏切られたと思い込むように…。
本当は母親やデヴィッドはテッドのことを愛して、心配してくれているのに、マリー教授のせいでその思いさえ信じられなくなってしまったようです。
テッドにとって爆弾作りは自分の怒りを表現できる唯一の方法になってしまったよう。
周りの人すべてから裏切られたと感じ、孤独なテッドでしたが、本当に欲しかったものは自分の家族。 「普通の人になれる能力」が欲しかったという願いが切ない…。
妻や子どものいる生活を想像するテッド。 ティミーの誕生日パーティに行く決意をしますが、あっけなくテッドの妄想は打ち砕かれることに。
ティミーがプレゼントされたのが電子ピアノというのが、テクノロジー社会を象徴しているように見えますね。
変わろうとしていたテッドでしたが、さらに自分の殻へと閉じこもっていくことに。ユナボマーの捜査をするフィッツがテッドの一番の理解者になったというのが皮肉。
怒りを抱えたテッドは作った爆弾をまたどこかへ送りつけるつもりなのでしょうか…。