- 『主任警部モース』シーズン2 第2話(通算5話)「キドリントンから消えた娘」
- Inspector Morse Season2 Episode2 "Last Seen Wearing"
※ネタバレしています。
『主任警部モース』シーズン2 第2話(通算5話)「キドリントンから消えた娘」のあらすじ
モースはストレンジ警視正から半年前に行方不明になった少女ヴァレリーの捜索を命じられる。ヴァレリーの父親は建設会社クレイブン社の社長で、町の有力者だった。
モースはヴァレリーはすでに死んでいると考えるが、ヴァレリーが書いたと思われる手紙が両親に届く。 モースはそれでもヴァレリーは死んでいると推理。ヴァレリーからと思われる手紙は冒頭が切り取られていた。 そして、ヴァレリーから2通目の手紙が届くが、それは揺さぶるためにモース自身が書いたものだった。
そんな中、ヴァレリーが通っていたホームウッド女学校の教頭シェリル・ベインズが自宅で2階から突き落とされて殺される。 シェリル・ベインズは同性愛者で、ヴァレリーのクラスメイトであるジュリアに送られてきた手紙の冒頭を切り取って、その手紙をヴァレリーの両親に送っていたことが判明する。
事件当夜、シェリル・ベインズの近所の人は自転車でやって来たホームウッド女学校の校長フィリップソンの妻シーラを目撃していた。 しかし、シーラが家に行ったときにはベインズはすでに転落死していた。
シーラはその帰り、以前、ホームウッド女学校でフランス語の教師をしていたデイヴィッド・エイカムを見たと証言。 デイヴィッド・エイカムはベインズが死んだ夜、ヴァレリーをベインズの家の近くまで送っていた。ヴァレリーはエイカムと駆け落ちしており、ヴァレリーはベインズ先生に色々と相談していたのだった。 ヴァレリーは校長のドナルド・フィリップソンがベインズ先生の家に入っていくのをみたと証言。
校長のフィリップソンはヴァレリーの母親グレイスと浮気していた。ヴァレリーは半年前、フィリップソンと母親のグレイスが一緒のベッドにいるのを目撃し、ヴァレリーの家出の一因になっていた。 ベインズは、フィリップソンとグレイスの関係を知り、フィリップソンを脅して、教頭の座を手に入れていた。
校長の座まで奪われそうになったフィリップソンはもみ合った末、ベインズを突き落としていたのだった。
捜査の際、ヴァレリーは堕胎手術をしていたことが明らかになる。ヴァレリーはカトリックの母親やエイカムに相談できず、元恋人のマグワイアに頼っていたのだった、 モースはヴァレリーが家族の元に戻れただけでいいと、手術のことは話さないことに決める。
『主任警部モース』シーズン2 第1話(通算4話)「消えた装身具」前回のあらすじと感想はこちら≫『主任警部モース』シーズン2 第2話(通算5話)「キドリントンから消えた娘」の感想
失踪した少女を捜すモース
今回も人間関係が入り組んでいて、複雑でしたね。 すでにヴァレリーが死んだと思い、あまりやる気がないモース。ヴァレリーが死んでいるというモースの推理はハズレでした。
ヴァレリーの父親が町の有力者ということで、ストレンジ警視正がモースに捜索を命令。 モースはストレンジ警視正の呼び出しから逃げ回り、ルイスは仕方なくモースが風邪だとウソを言ったようですね。
モースが読んでいた本は、イギリスの小説家トーマス・ハーディの書いた本。サボって、読書をしていたようです…。
トーマス・ハーディ
トーマス・ハーディは、1840年に ドーチェスター の郊外小村アッパー・ボッカンプトンで、石工の息子としてうまれた。 1856年に学校を終えたハーディは、ドーチェスターの建築家ジョン・ヒックスのもとで年季奉公に入った。1862年にロンドンに出て、アーサー・ブロムフィールド ( Arthur Blomfield) 建築事務所で働いた。この時期には毎日のように ナショナル・ギャラリー ...
ホームウッド女学校で、体育用スカートを見て、男の夢があの短いスカート丈に込められていると語るモース。 ウィンブルドンを見るたびにデザインした男に感謝してるというモースにびっくり。テニスじゃなくて、スカートに注目しているモース…。
モースがヴァレリーの捜索を始めた途端、ヴァレリーから手紙が。 しかし、この手紙は教頭のベインズが細工して送ってきたものでした。 そして、2番目の手紙はなんとモースが偽造したもの! まさか、手紙を偽造までするなんてびっくりですね。
ヴァレリーは父親のジョージと血がつながっていないと聞いたときには、ジョージがヴァレリーのお腹の父親かと思いましたね。ジョージが撮ったヴァレリーの映ったビデオも怪しかったですが、ジョージは実の子のようにヴァレリーを愛していただけで一安心。
ヴァレリーの母親と不倫していた校長
校長のフィリップソンは、一見、好人物かと思いきや、浮気をし、妻のシーラとも土地や家系目当てで結婚したいけ好かないヤツでした。
フィリップソンはヴァレリーの母親グレイスとも不倫。 しかも、ヴァレリーに目撃され、それが家出の一因に…。
ホームウッド女学校はいつも光の当たる恵まれた環境だと言われていましたが、中身はドロドロでしたね。校長は生徒の母親と不倫し、フランス語の教師は生徒と駆け落ちしていました。
フィリップソンはモースのことをよたよたしながら最後はかぎつけてくる老犬だと例える始末…。ひどい言われようでしたね。
モースは相変わらず、捜査中でもビールを飲み、殺人現場でもウイスキーを飲もうとして、ストレンジ警視正に厳しく叱られることに。 「頭はまともに働いとるのか?」と言われてしまうのでした。
それでも、「頭を使うと喉が渇くんだ」とパブでビールを飲むモース。でも、缶ビールはビールじゃないと飲むのを拒否。 お酒好きのモースにもこだわりがあるようで、ビールなら何でもいいってわけではないようです。
犯人は校長のフィリップソンだった
観察力の鋭いモースは、ヴァレリーの母親グレイスがブロンドから髪の色を戻したことに気づきました。 「神様だけがその黄色い髪のゆえでなく、あなた自身を愛してくださる」とアイルランドの詩人イェーツを引用。
グレイスはベインズが殺された夜のフィリップソンのアリバイを証言していましたが、それはウソ。 車には羽根布団がなかったことでモースもウソに気づいたようです。
それでも、学校のプールの更衣室で密会していたというのが生々しい話でしたね。 それに、フィリップソンが持ってきたクッションのにおいから子どもたちを思い出すという話が、ゾッとしますね。
ベインズが殺された夜はフィリップソンと会っていなかったとしても、妻のシーラや子どもの存在を知りながら、浮気していたのが最悪。 フィリップソンも女性たちをバカにして、浮気相手だったグレイスにアリバイ工作を頼んだ上、罪を免れようとあがく姿が醜悪でしたね。
フィリップソンの妻シーラが気の毒すぎる…。 最初は夫のフィリップソンが浮気していただけで、人殺しではないと思って安心していたのに、結局、人殺しだったと知ることになったのでした。
殺されたベインズが教頭になれたのは、フィリップソンとグレイスの不倫関係をネタに脅していたから。 それまでフィリップソンにとって、同性愛者のベインズは何の価値もない存在。 それが、脅されて学校の運営にもベインズが意見することに。
それにしても、自分になびかない同性愛者というだけで、価値がないと判断するフィリップソンは最低ですね。
ベインズが殺された夜には、ベインズの家に多くの人が訪ねてきていたことが発覚。芋づる式にフィリップソンが犯人だと分かることになりましたね。
フィリップソンはベインズに脅されて、校長の椅子まで奪われそうになり、突き落としていたのでした。 野心家で強欲、なによりへそから下がだらしないというフィリップソンが今まで校長でいられたのも、驚きですね。
生きていたヴァレリーは駆け落ちしていた
ヴァレリーはフランス語の教師エイカムと駆け落ちしていたことが判明。 おとなしそうなエイカムが生徒と関係していたのが、驚きですね。
しかも、ヴァレリーは妊娠し、中絶までしていました。 昔の恋人マグワイアに頼ったのは、母親もエイカムもカトリックだから。 カトリックでは、中絶は禁止されているそうです。
それで、16歳のときに関係したことのあるマグワイアを脅し、病院に行ったようです。 ヴァレリーの両親に中絶のことは内密にすることに決めたモース。さすが情に厚いモースですね。 死んでいたと思われていたヴァレリーが無事、愛する家族の元に帰れてよかったですね。
『主任警部モース』の登場人物・キャスト
ドラマで流れた曲
- Violin Concerto No. 1 in B flat, K. 207 - ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
- ワルキューレの騎行 - リヒャルト・ワーグナー
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