- 『マンハント:謎の連続爆弾魔ユナボマー』第3話「毒樹の果実」
- Manhunt: UNABOMBER Episode3 "Fruit of the Poisonous Tree"
※ネタバレしています。
『マンハント:謎の連続爆弾魔ユナボマー』第3話「毒樹の果実」のあらすじ
1993年、遺伝学者のエプスタイン氏はユナボマーからの爆弾で重傷を負う。
1997年、フィッツは刑務所のユナボマーと面会し、遺伝学者エプスタイン氏の事件の証拠を突きつけ、自白を迫る。
しかし、ユナボマーは証拠が見つかった山小屋の捜索令状はフィッツの文章解析をもとにしており、その文章解析は根拠がないと指摘。 令状が出された根拠に問題があれば、捜索で不正に得られた押収物は「毒樹の果実」とみなされ、立証能力はなくなり、証拠として認められない。
ユナボマーにやりこめられたフィッツだったが、ユナボマーは自分のことをまわりから認めてもらうために裁判に持ち込む気ではないかと考える。 もう一度、ユナボマーと対面したフィッツは、捜査令状の無効を訴え、無罪を主張するなら、声明文も書いていないことにする必要があると指摘。
一方、ユナボマーはフィッツが逮捕した自分こそが、フィッツの財産だと指摘する。
1995年、フィッツは声明文を解析し、言い間違いや独特な単語のつづりを見つけ出す。 学者たちに声明文の著者に心当たりがないか聞く中で、比較言語学者のナタリーは声明文の書式が67年~72年の博士論文のフォーマットであることに気付く。
さらに、ナタリーは声明文の独特な単語のつづりが49年~54年にシカゴトリビューン紙に使われていたものだと突き止める。 その結果、フィッツはユナボマーは50歳以上で大学院で博士号を取得したとプロファイリングする。
しかし、捜査本部はフィッツのプロファイリングに当てはまらないレオ・バートを第一容疑者として挙げていた。
ナタリーの言語学の話をもとに、フィッツは声明文で使われていない言葉にも注目。ユナボマーは家族も友人もいない孤立状態だと見抜くのだった。 だが、捜査本部はフィッツの言語分析を科学的ではないと無視する。
そして、マスコミ各社に取引を持ちかけるユナボマーから手紙が送られてくるのだった。
『マンハント:謎の連続爆弾魔ユナボマー』第2話「真偽」 前回のあらすじと感想はこちら≫『マンハント:謎の連続爆弾魔ユナボマー』第3話「毒樹の果実」の感想
1993年、ユナボマーからの封筒を開けてしまった遺伝学者のエプスタイン氏が大ケガを。 エプスタイン氏はこの爆発で指や聴力を部分的に失ったそうですが、命は助かったそうです。
爆発で大ケガを負ったエプスタイン氏を見ると、声明文でどんなに論理的なことを言おうとユナボマーがやったことの卑劣さがわかりますね。
1997年、刑務所に収監されたユナボマーは山小屋にあった証拠品で有罪は確実かと思われましたが、フィッツの言語分析には根拠がないと指摘。
「毒樹の果実」は法律用語で、違法な方法で獲得されたものから得られた証拠には立証能力がなくなること。
捜査令状が無効になれば、ユナボマーの山小屋で押収されたものも証拠とはならず、無罪放免になる可能性が! 目の前に証拠があるのに、それが全部、ただのゴミになってしまうというのが、ゾッとしますね。
さすがIQ168…。 「君は毒の樹なんだよ」とささやくユナボマー。逮捕されたのにフィッツとの駆け引きを楽しんでいるのが怖い。
それでも、フィッツはユナボマーにもう一度、面会。フィッツが山小屋で暮らしていたのは、ユナボマーに感心し、尊敬していたからでした。 まさかユナボマーを尊敬までして、山小屋で暮らしていたとは…。
逮捕したフィッツこそ、ユナボマーの最大の理解者だったようです。
「君の財産は私だ」と宣言するユナボマー。 フィッツにとっての財産は家族のはずが、いつの間にかユナボマーに取りつかれてしまったようです。
ユナボマーのことを友人のようにテッドと呼ぶのも危ういですね。
「どう頑張っても私の模倣犯にしかなれない」とフィッツを卑下したユナボマーでしたが、一人になるとうなだれるのでした。 フィッツもユナボマーと対面した後はうなだれて、ぐったり。 お互いにかなり消耗しているようです。
言語分析でユナボマーの正体に迫る
1995年、フィッツは声明文の解析でユナボマーの正体を突き止めようと奮闘。
両得を一挙にはできない「have your cake and eat it too」を「eat your cake and have it too」と語順を逆に書いていたユナボマー。
16世紀には正しい語順だったのに、今では逆に。昔は正しかったのに、今では間違いになるなんて、言葉は不思議ですね。今は言い間違いとされている言葉も将来的には正しくなっているかも…。
学者の会合では比較言語学者のナタリーの指摘が役立つことに。 他の学者たちは言い合うばかりでしたが、ナタリーは声明文の書式に注目。 声明文は博士論文を書く時の書式、正誤表や注意書きから、67年~72年に博士論文を書いたことのある人物と絞り込むことに成功。
書式だけでこんなに絞り込めるとは驚きですね。
さらに、49年~54年にシカゴ・トリビューンで使われていた独特な単語のつづりからも、犯人はシカゴに住んでいたことのある50歳以上の人物だと突き止めるのでした。 つい出てしまう「個人言語」をもとにして、「言葉の指紋」を分析していくフィッツたち。
スラブ人の話から、使われていた言葉ではなく使われていなかった言葉もカギに。 使われていない言葉まで犯人像を分析する根拠になるとは…。
文章だけでユナボマーが孤立状態にあると突き止めたフィッツ。言葉はあなどれないですね。
それらをもとにユナボマーをプロファイリングしたフィッツでしたが、捜査本部は無視。 プロファイリングは捨てられ、フィッツのプロファイリングとは別の容疑者を追いかけることに。
確かに指紋やDNAと違って、言葉を分析して、犯人像を絞り込んだと言われても、説得力は薄いかも。 そんな中、ユナボマーはマスコミ各社に手紙を郵送。また爆弾かと思いましたが、ただの手紙でよかったですね。
ユナボマーは取引を持ちかけてきたようです。手紙ということで、フィッツの言語分析が役立ちそうですが、捜査本部はフィッツの意見を聞きそうにないのが心配ですね。