- 『主任警部モース』シーズン8 第3話「死はわが隣人」
- Inspector Morse Season8 Episode3 "Death Is Now My Neighbour"
※ネタバレしています。
『主任警部モース』シーズン8 第3話「死はわが隣人」のあらすじ
ある朝、ブロクサム通りでレイチェル・ジェイムスという女性がブラインド越しに射殺される。
ローンズデール・カレッジでは次期学寮長の候補ジュリアン・ストーズとデニス・コーンフォードの2人が激しい選挙戦を繰り広げていた。 近所に住むアデル・セシルによるとレイチェルはジュリアン・ストーズと不倫関係にあったという。
そして次の日の朝、レイチェルの隣に住む新聞記者ジェフリー・オーウェンズも射殺される。 オーウェンズはスキャンダルをネタにゆすりをして、人々から金を脅し取っていたことが分かる。 レイチェルはブラインド越しに長髪のオーウェンズと間違えられ、殺されていた。
オーウェンズのゆすりのメモにはAM→DC→CB!と書かれていた。 AMはアリス・マーティンのイニシャルで、今は名前を変え、ジュリアン・ストーズの妻アンジェラ・ストーズになっていた。 DCはアンジェラの娘ダイアン・カリンガムのこと、CBは学寮長のクリクスビー・ブリームのことだった。
アンジェラは若い女に走った夫のケネス・マーティンを射殺し、娘とヨットに放火した罪で起訴されたが、無罪放免になっていた。
アンジェラは夫のジュリアン・ストーズを学寮長にするため、スキャンダルを避けたかった。 ホテルに泊まったアンジェラとジュリアン。早朝、アンジェラは娘のダイアンと入れ替わり、自分がホテルの部屋にいたようにメイドに思わせ、オーウェンズを殺しに行っていたのだった。
しかし、ダイエット中のアンジェラが食べるはずのないボリュームたっぷりの朝食をたのんでいたことから、身代わりのことが発覚。 アンジェラはレイチェル殺害とオーウェンズの殺害で逮捕される。
一方、学寮長のクリクスビー・ブルームは昔、デニス・コーンフォードに妻を寝取られたことを恨み、デニスの妻シェリーに夫を学寮長にしたいなら自分と寝ろと迫る。 シェリーは仕方なくブリームと寝るが、デニスを学寮長にするという話はウソだった。
そのことを知らされたデニスは逆上。追われたシェリーは階段から転落死してしまう。 モースは卑劣なブリームを責め、オックスフォードを去るように言い渡す。
モースは今回の事件で親しくなったアデルにファーストネームの「エンデヴァー」を教え、名前を気の毒がられる。 そして、モースとアデルは一緒にホテルに泊まることになる。
『主任警部モース』「カインの娘たち」前回のあらすじと感想はこちら≫『主任警部モース』シーズン8 第3話「死はわが隣人」の感想
同じ通りで2件の殺人が
ブロクサム通りで2日連続で起こった射殺事件。レイチェル殺害は人違いだったというのが、ひどい…。 それにしても、今回も人間関係が入り組んでいましたね。みんな、不倫しすぎ…。
殺されたレイチェルはジュリアン・ストーズと不倫関係に。バレンタインカードには「物理療法士は手と膝でナニしてくれる」と書いていたジュリアン・ストーズ。こんなことをカードに書く人と交際していたなんて、レイチェルは男運が悪いと言うより、男の趣味も悪かったようですね。
さらに、間違いで殺されてしまうと言う不運がレイチェルを襲うことに…。 長髪でポニーテールだった新聞記者のオーウェンズに間違われてしまうなんて。
レイチェルが住んでいたのは17番、オーウェンズが住んでいたのは15番。不吉な13番はなし。犯人は裏庭から入り、隣のレイチェルの家とオーウェンズの家を間違えていたのでした。
次の日に殺されたのは、新聞記者のオーウェンズ。 オックスフォード・メールという新聞社はモースの若い頃を描いたドラマ『刑事モース~オックスフォード事件簿~』でも登場していましたね。
オーウェンズはゆすりをして金を脅し取っていたことが判明。 脅されていたのは、ジュリアン・ストーズの妻アンジェラ。酒浸りのアンジェラでしたが、射撃の腕は確かだったようです。
アンジェラの本名はアリス・マーティン。そして、娘はダイアン・カリンガム。 昔、若い女に走った実業家の夫ケネス・マーティンを殺していたアンジェラ。 無罪放免になっていたのも驚きですが、その過去を隠すために脅してきたオーウェンズまで殺害。 夫の不倫相手だったレイチェルを殺したのは人違いだったとはいえ、奇妙な偶然でしたね。
オーウェンズを殺した時刻には娘のダイアンを身代わりにして、ホテルにいたというアリバイも用意。 しかし、食事の内容でバレましたね。夫もアリバイ工作に加担していました。
夫のジュリアン・ストーズや娘のダイアンも共犯として逮捕されたようです。
学寮長選のために殺人まで発生するという醜いことになったのでした。
学寮長ブリームの下劣な仕返し
そして、醜いことは他にも。 学寮長のブリームは昔、デニス・コーンフォードに妻を寝取られたことを恨み、コーンフォードの妻シェリーと寝ることで復讐。
「不潔でみすぼらしい庶民の暮らしを見られる」「私には君らの人生を変える力がある。そして、力とは乱用してこそ、その価値を実感できる」と言う嫌なやつのブリーム。 シェリーは夫を学寮長にしようと、ブリームと寝ることに。しかし、ブリームにはデニスを学寮長にする気は毛頭なかったのでした。
やることが下劣すぎて、あきれるしかないですね。こんなやつが学寮長だなんて、吐き気が…。自分はアンジェラと関係を持っていたらしいのに、自分のことを棚に上げて、よく人にこんなひどい仕返しができましたね。
事実を知ったデニスは逆上。シェリーは階段から転落死することに。 デニスがシェリーを突き落としたのかと思いましたが、シェリー自身が足を踏み外して階段から転落してしまったようです。
学寮長の候補がいなくなり、シェリーも死んだのに、学寮長を続けようとする厚顔無恥なブリーム。 モースが面と向かって、非難してくれてすっきりしましたね。
モースのファーストネームは「Endeavour エンデヴァー」
ストレンジは引退を考えていましたが、気が変わったようで一安心。 「脳が眠っとるのか」「熱でもあるんじゃないのか」とモースに鋭いツッコミを入れるストレンジはずっとモースの上司でいて欲しいですね。
ルイスはビールをおごらされてばかり。せっかくモースがおごる気になっているときも、小銭がないとルイスがおごるハメに…。 クロスワードをするために新聞まで買わされていましたね。
そのせいか、ルイスの息子には情けないと言われてしまうことに。 「たまには白髪野郎に逆らってみろよ」とモースは白髪野郎扱いされてしまうのでした。
今回はモースの両親の話がよく出てきましたね。 「いざ それこそが我らたる証 我らすべてに備わる勇者の心 時とさだめに損なわれようとも その強き意志は戦い、もとめ、歩み続けて屈することはないのだ」とイギリスの詩人テニスンの言葉を父親に覚えさせられたというモース。
そして、モースのファーストネームの由来も明らかに。 モースのファーストネームは「Endeavour エンデヴァー」。 「Endeavour エンデヴァー」は「努力」という意味で、モースの母親がクエーカー教徒で忍耐を表す名前を、父親はキャプテン・クックを尊敬し、クックの乗った船の名前「エンデヴァー」から名付けられたのでした。
ジェームズ・クック
太平洋に3回の航海を行い、 オーストラリア東海岸に到達、 ハワイ諸島を発見し、自筆原稿による世界周航の 航海日誌を残し(第2回航海)、 ニューファンドランド島と ニュージーランドの海図を作製した。史上初めて 壊血病 による死者を出さずに世界周航を成し遂げた(第1回航海)。
ルイスにも同情されるモースのファーストネーム…。そんなにひどい名前だったんですね。 アデルにも気の毒がられることに。普通は名前としてつける言葉ではないようです。
ちなみに、モースの若かりし頃を描いたドラマ『刑事モース〜オックスフォード事件簿〜』の原題のタイトルはモースのファーストネームである『Endeavour』となっています。
いつも事件で出会ったヒロインとはうまくいかなかったモースでしたが、今回はアデルとの恋が実ったようでよかったですね。
学寮長候補のデニス・コーンフォード役を演じているのは、『刑事モース〜オックスフォード事件簿〜』でモースの上司サーズデイ役を演じるロジャー・アラムです。
『主任警部モース』の登場人物・キャスト
ドラマで流れた曲
- 「フィガロの結婚」 ‘non so piu’ - ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
- Gloria - アントニオ・ヴィヴァルディ
『主任警部モース』のエピソードリストと主な登場人物・キャストの一覧 はこちらへ≫