※ネタバレしています。
『刑事モース~オックスフォード事件簿~』
Case5 「家族の絆」のあらすじ
ひき逃げの通報があり、モースは現場に赴くが、モースはひき逃げ事件ではないと直感する。被害者は大学教授のアリスター・コーク・ノリス。
コーク・ノリス教授は大学が所有する土地であるブース・ヒルが議会の住宅として開発されることに反対していた。 コーク・ノリス教授殺害は住宅開発を進めたいベイデリー・カレッジの学寮長のフロービシャーやマフィアの仕業に思えたが、彼らは賄賂を渡していただけで殺しとは無関係。
コーク・ノリス教授を殺害したのは妻のミリセント・コーク・ノリスだった。 ミリセントは勝手に夫の大学の同僚であるイアン・カーンに恋愛妄想を募らせ、イアンが昇進して、ブース・ヒル開発の利益を受け取れるように画策。 ブースヒル開発の妨げになるジュディ・ヴァレンズがルームメイトで娼婦のジョージーナ・バナードだと思い、間違えて殺害していた。
ミリセントは好意を受け取らなかったイアンも銃で殺害。犯人を追い詰めたモースはミリセントに銃を向けられて殺されそうに。 サーズデイ警部補はミリセントを撃つが、モースは脚を撃たれてしまう。
『刑事モース~オックスフォード事件簿~』Case4 「ファミリービジネス」前回のあらすじと感想はこちら≫Case5 「家族の絆」の感想
美しい一面の銀世界が印象的なエピソードでしたが、犯人のミリセントにはゾッとさせられました。勝手に恋愛妄想を膨らませ、殺人まで!
さらに、想いが拒絶されると妄想相手のイアン・カーンまで殺害。怖い、怖すぎる。しかも、イアンはミリセントのことをお節介なおばさんぐらいにしか思っていなかったのに…。
帰省するモース
モースは今回 実家に帰省。英題は"HOME"となっています。モースの父親シリルは狭心症で死にかけているのに、競馬に夢中。モースの父親はグウェンと再婚したんですね。モースとの関係はあまりよくなさそう。
モースの妹ジョイスも登場しました。 パブに行くモースとジョイス。妹との関係は良好なようで一安心。
父親はモースがオックスフォードに戻ったことを「箴言26の11」と言ったそう。旧約聖書の「箴言26の11」は「犬が自分の吐いた物に帰って来るように、愚かな者は自分の愚かさをくり返す」。辛辣ですね。
帰り際、父親に「警官は嫌いだ」と言われてしまったモースですが、今度帰省したときには危篤状態。 父親と微妙な関係だったモース。それでも、射撃の腕はウサギ狩りで父親に鍛えられ、モースは射撃テストで優秀な成績を残すのでした。お互い素直に話すことができないようですね。
自分も撃たれてケガを負いながらも、実家に戻り、危篤状態の父親をそばで見守るモース。父親は朝になると息を引き取っていたのでした。父親とは複雑な関係だったモースも父親の死には動揺。 撃たれた傷は応急手当だけで帰省し、治療は後回しになってしまいました。医者に後遺症が出ることがあると言われたモース。以前は刺されたり、今回は撃たれたりと、大変…。体が心配ですね。
モースは昇進試験を受けられなかったようですね。 ストレンジは試験を受けていましたが、モースはまた事務仕事に回されてしまうのでしょうか?
サーズデイ警部補はマフィアと対決
サーズデイ警部補は因縁の相手と関わることに。 ヴィックと息子のヴィンスはマフィアで、ロンドンでサーズデイ警部補の部下ミッキー・カーターを殴り殺した過去が。
なんとその事件は、カーターがマフィアから賄賂をもらっていたというデマが広がり、うやむやになったまま犯人が逮捕されることもなく、蓋がされていました。
ヴィックはサーズデイの家族も脅し、サーズデイたちはロンドンからオックスフォードに来たのでした。 カーターの残された奥さんにお金を渡していたサーズデイ警部補には思いやりや責任感の強さを感じます。
カーターの死に罪悪感を感じているサーズデイ警部補ですが、自分の家族を危険にさらすまねはできずにオックスフォードに逃げて来たんですね。
葬式の花を送ってきたり、サーズデイの娘のジョアンにも脅しをかけてくるマフィア。家族まで脅してくるのが、汚い。
サーズデイ警部補は証拠である書類をモースに託し、1人でマフィアのアジトであるムーンライト・ルームズというナイトクラブに乗り込み、ヴィックやヴィンスと対決! モースたちが助けに入らなければ、危なかった。
意外にもマフィアは殺しには無関係でした。 汚職に関わった学寮長のフロービシャ―やマフィアのヴィンスは逮捕。 きっと市庁舎のカーライルも逮捕されたんでしょうね。
マフィアだった父親のヴィックは本当に引退していて何も知らずにいたよう。息子のヴィンスが首謀者でした。
今回、サーズデイ警部補は過去の因縁で冷静ではいられず、ブライト警視正にも復讐にすりかえるなと忠告されてしまいました。
それにしても、ブライト警視正は上からの圧力にめっぽう弱いですね。議会が関係する事件と言うことで、上から圧力をかけられたブライト警視正は今回も声を荒げて、モースを非難。ちゃんと捜査しているだけなのに…。
犯人は妻だった
学寮長のフロービシャ―はコーク・ノリス教授のロンドンのアパートの部屋を勝手に貸して、性的接待に利用。 人の部屋を使って、何をやっているんだ!と言いたくなりますね。
その部屋に来ていたジュディ・ヴァレンズ(Judy Vallens)はコーク・ノリス教授に警告。 それでマッチに「J.V Oxford 38802」と名前と電話番号が。
ジュディ・ヴァレンズと「特別な友達」だったジョージーナ・バナードは人違いで殺されてしまうことに。 ムーンライトで勤務していたことやマッチから、マフィアがらみかと思ったら、まさかの人違い…。
犯人のミリセントは車を運転してロンドンからオックスフォードに戻り、ひと気のない場所で夫のコーク・ノリス教授を殴り殺し、運んだ遺体をひき逃げに見せかけて放置。 遺体と一緒にカバンを置いていくのを忘れ、朝の郵便を受け取れなかったことが事件解決の糸口に。
贈賄事件の証拠となる書類はコーク・ノリス教授がしっかりと駅の荷物預かり所に預けていたことで、マフィアのヴィンスや学寮長のフロービシャーを逮捕することができました。番号の書かれた引き換え券を利用する駅の荷物預かり所は今で言うとコインロッカーみたいなもののようですね。
賢い教授でしたが、まさかコーク・ノリス教授も妻に殺されるとは思ってもみなかったはず。 落馬して入院しているという ひとり残された娘のオードリーがかわいそうです…。
コーク・ノリス教授のもうひとつのカバンに入っていたレポート「トラキスの女たち」はソポクレスによるギリシア悲劇。 ミリセントが行ったというプロムズとはイギリスのロンドンで8週間にも及んで開催されるクラシック音楽のコンサートのことだそう。
サーズデイ警部補の娘はジェイクスと恋仲に
サーズデイ警部補の娘ジョアンはジェイクスと付き合っている模様。 ムーンライト・ルームズに踊りに来ていたジョアンとジェイクス。ノリノリで踊るジェイクスがジョアンのお尻に手を伸ばすところをモースは目撃!
ジェイクスは女性に手を出すのが早そうですね。ジョアンに踊りがヘタだと言われるジェイクスは本気で上司の娘と付き合う気なのでしょうか?
遊びで上司の娘と付き合っているとしたら、ジェイクスはどうしようもない男ですね。遊びだったら、サーズデイ警部補やモースに袋叩きにされること間違いなし。
モースは「遊びのつもりなら近づかないで」とジェイクスに忠告するのでした。
一方、サーズデイ警部補は娘ジョアンがモースと付き合っていると勘違い。 サーズデイ警部補もモースなら、娘を任せられると認めたのでした。信頼されていますね。
サーズデイ警部補がジョアンの本当の相手が皮肉屋のジェイクスだと知ったら、どう反応するのかが気になります…。 誤解が解ける日はくるのでしょうか?
ちなみに、サーズデイ警部補お気に入りのパイプ用タバコはネイビーカット。タバコの葉の切り方の違いだそう。
ジョアンも手作りサンドウィッチを持参。家族を支えるサンドウィッチですね。
モースやサーズデイ警部補はジェイクスが持ってきた「ダブルダイヤモンド」というビールを飲むことに。サーズデイ警部補はお気に召さなかったようですが、ダブルダイヤモンドは実際イギリスで作られているビールの銘柄だそうですよ。
子どもの頃に母親を亡くしたモース
12歳のときに母親コンスタンスを亡くしたモース。Case1「ある晴れた日に」でも、母親のことはあまり知らないと話していましたね。母親は29歳という若さで亡くなったことが、お墓で判明。モースは母親そっくりだと妹に言われていましたが、なんとも悲しい帰省となったのでした。
今回はモースの家族が登場。亡くなった父親のシリルはドラマ『主任警部モース』に登場する主人公のモース警部にそっくりだそう。 心も体も満身創痍のモース。お酒の量はますます増えてしまいそうですね。
原作者のコリン・デクスターは開始3分ほどで土地売却のミーティングのシーンにカメオ出演。 このエピソードはシーズン1の最終回となっています。次回からは、シーズン2に突入。楽しみですね。
Case5 「家族の絆」で流れた曲
- 「レクイエム 作品48 VII.楽園にて」-フォーレ
- 「レクイエム 作品48 III.サンクトゥス」-フォーレ
- I Know You're Angry Baby - Rachel D'Arcy
- I Need Some Rock and Roll - Rachel D'Arcy
- Dance for You - Rachel D'Arcy