『刑事モース~オックスフォード事件簿~』Case8「情事の代償」のあらすじと感想 ネタバレ注意!

※ネタバレしています。

『刑事モース~オックスフォード事件簿~』
Case8「情事の代償」のあらすじ

主婦が連続して絞殺される事件が発生。4人が犠牲になる。 凶器は黒のストッキングで、戦利品として結婚指輪が奪われていた。さらに、バリッジズ・デパートでは在庫管理を担当するノーマンも殺され、強盗目的だと判断される。

サーズデイ警部補は戦時中イタリアで恋に落ちたルイザ・アームストロングと再会する。

凶器のストッキングを扱う問屋のジョーイ・リスクは被害者たちと浮気。 被害者の1人ミセス・ハルデーンからプレゼントされたカフリンクが現場に落ちていたことなどからジョーイが犯人だと思われる。 しかし、真犯人はジョーイに妻を寝取られたデパートの配達員ロイ・ハギンズだった。

ロイは浮気をした妻に手を上げ、倒れた妻は暖炉で頭を打って死亡。 ロイはジョーイを連続殺人犯に仕立て上げ、さらし者にしようと計画。ジョーイが手を出した人妻を次々と殺害していた。

デパートからストッキングを盗るところを目撃されたロイはノーマンも殺害。 ロイはデパートの同僚グロリアを絞め殺そうとしているところを逮捕される。

ルイザは自殺。モースはサーズデイ警部補宛の遺書をこっそり抜き取り、サーズデイ警部補に手渡す。 遺書には隠れ家を密告したのは自分だという告白が。 その遺書を読んだモースはその手紙を燃やすのだった。

『刑事モース~オックスフォード事件簿~』Case7 「鏡の国の少女」前回のあらすじと感想はこちら≫

Case8「情事の代償」の感想

絞殺魔事件は浮気が引き起こした連続殺人。 最後には殺すのが喜びになっていたというのがおそろしいですね。

今回、みんなが胸につけていた花は赤いひなげしで、「リメンブランス・ポピー」というもの。1918年11月11日に終結した第一次世界大戦を記念して定められた記念日をリメンブランス・デー(戦没者追悼記念日)と言い、赤いポピーの花は戦没者の象徴。募金をすると、造花のポピーが渡され、胸につけるそうです。

さらに、花火の日というのはガイ・フォークス・ナイトのこと。11月5日に行なわれるイギリスの風習で、 1605年11月5日に起こった火薬陰謀事件にちなんだお祭り。

ガイ・フォークスらが 国会議事堂を爆破し、国王ジェームズ1世と国会議員たちを殺そうと計画しますが、計画が発覚。政府転覆を狙ったテロ事件が阻止されたことをお祝いするお祭りです。 ドラマ 『SHERLOCK/シャーロック』のシーズン3「空の霊柩車」でも、ガイ・フォークス・ナイトが登場します。

今回のエピソードは11月ごろのようです。

犯人はデパートの配達員

人妻の連続絞殺事件は思わぬ人が犯人でしたね。デパートの配達員のロイが真犯人! 一見普通のおじさんが犯人…。

ミセス・ハルデーンの日記には浮気の詳細が赤裸々につづられていました。それを知ったブライト警視正は「ノースオックスフォードのよろめきマダム」と表現。ゴシップ雑誌に書かれていそう…。

ストッキングを持っていったデパートの支配人のクインバリーも怪しげでしたが、ストッキングは義足に履くため。わざわざ凶器に使われているストッキングを持っていかなくても…。

デパートの店員のグロリアがなかなか出勤しないのは、殺されてしまったからからだと思ったら、ただの遅刻で一安心。 しかし、犯人のターゲットになり、ロイに絞め殺されそうに!

ジョーイと浮気をした妻がすでに死んでいたというのが、びっくり。 最初はジョーイへの復讐だったロイですが、次第に殺人を楽しむように。シリアルキラーになったロイにサーズデイ警部補は「終わりにしなくちゃいけないことが、終わりになった」と言うのでした。シリアルキラーのロイに戦慄。

壁に残っていた無限大∞と思われたマークはただの8。∞は永遠のシンボルで、神秘主義的に言うと自分の尾を飲み込む蛇「ウロボロス」を指すと言っていましたが、真相は8が横になって壁にうつっただけでした。

拍子抜けでしたが、硫酸カルシウムはチョークの粉、数字はデパートの配達員ロイが配達順に書いたものだと気づき、犯人逮捕へとつながりました。

イワシの缶詰の看板はさらに落書きが増え、絞殺されているように落書きが…。

モニカと再会したモース

食事を断り、ダブルデートしたことをモニカに説明し、謝るモース。 前回のCase7「鏡の国の少女」のときは夏。11月ということで、かなり時間が経っているようです。

モニカはもう気にしていないようで許してくれました。そして、デパートで夫婦と間違われてしまったモースとモニカ。照れる2人がほほえましい。 夫婦のふりを続け、モニカはマットレスを購入。

モースはモニカとデートを重ね、花火の日に一夜を共に。 ふたりとも幸せそうですね。

女たらしのジョーイ

花火の日にストレンジは私服でパトロール任務。私服ということで髪型がいつもと違い、革ジャンを着ていてロックな感じに。

ストレンジはしつこく付きまとう女たらしのジョーイを逮捕。 このジョーイという男は最低でした。

ナンパを断ったグロリアにしつこく迫り、パブではゲイのチャーリーを罵倒。さらに、グロリアたちを守ろうと立ち上がった吃音症のノーマンにも罵詈雑言を浴びせる始末。

人に向かって死んだほうがいいとか、世の中のゴミとかクズとか言うジョーイがひどすぎ!  こういう人は自分のほうがよっぽどクズだという自覚を持ったほうがいいんじゃないでしょうか…。

誰も立ち上がらない中、ジョーイに立ち向かったノーマンが勇敢でした。 グロリアにバラの花を贈っていた隠れファンはノーマンだったようですね。 やさしいノーマンの恋は報われず、犯人がストッキングを持っていくところを目撃、殺されてしまうことに。 それにしても、ノーマンがいたマネキンやカラスの剥製などがある部屋が不気味。

ジョーイが被害者全員と関係を持っていたことが分かったのは盲目の調律師ミスター・ピューの嗅覚のおかげ。被害者の家に残されていたドアストッパーのようなものは、ウェッジというピアノの調律に使う道具なんだそう。それにしても、3人の被害者の家に同じ時期にピアノの調律に行っていたというのはちょっと無理がある気が…。

ジョーイが手を出した人妻のハルデーンはカフリンクやライターをプレゼント。 カフリンクはアルファとオメガのセット。

「我はアルファにしてオメガなり」は新約聖書のヨハネの黙示録にある主の言葉だそう。ギリシャ文字の最初の文字アルファ Αと最後の文字オメガ Ω。「最初であり、最後である」という意味で、永遠や全知全能を表すそうです。 プレゼントされたジョーイには似つかわしくないですね。

ライターには「煙が目にしみる」の歌詞「何で本物の恋とわかる?(They asked me how I knew)」と刻印が。 「煙が目にしみる」はジャズのスタンダード・ナンバーでスティーヴン・スピルバーグの映画『オールウェイズ』でも使われている曲だそう。

Smoke Gets In Your Eyes / 煙が目にしみる [日本語訳付き]  J.Dサウザー

1946年にナット・キング・コールがカバーして大ヒットしたこの曲も元々は1933年にミュージカルとして書かれた曲。1989年公開スティーブン・スピルバーグ監督作品の「ALWAYS」の挿入歌でJ.D.サウザーが歌っています。本家はプラターズですがサウザーのアルトヴォイスも映画の切なさを引き立たせています。またオードリー・ヘップバーン最後の出演作品でもあるこの作品は知る人ぞ知る名作です。いつもの...

「煙が目にしみる」

最低なジョーイでしたが、殺人犯ではありませんでした。 それにしても、よく何人もの女性を口説き落とせましたね。 サーズデイ警部補の恋人だったルイザまで! こんな男にも気を許してしまうなんて、みんな、孤独でさみしかったのでしょうか…。

サーズデイ警部補は昔の恋人と再会

サーズデイ警部補と妻のウィンは結婚25年で銀婚式。 ウィンは万引きの罪を着せられて恐喝されそうに。元警官で警備担当のジェリコが万引きをでっち上げて、罰金を払えば見逃すとお金を巻き上げていました。 やり口が汚い! 元警官のくせに何をやっているんでしょうね…。 モースが通報を受けてよかった。

デパートの従業員であるルイザ・アームストロングと再会したサーズデイ警部補。ルイザは気絶。劇的な再会を果たしたサーズデイ警部補とルイザ。 サーズデイ警部補は戦時中イタリアでルイザと情熱的な恋に落ちたようですね。

ルイザが死んだものと思っていたサーズデイ警部補。 アームストロング少佐に助けられたルイザは少佐と結婚し、今は未亡人。

サーズデイ警部補にこんなロマンスがあったなんて!  フレドーと呼ばれ、「一度だけ、抱き締めて」というルイザに応えるサーズデイ警部補。

そこで思いとどまったのが、家族を愛するサーズデイ警部補らしいですね。でも、切ない…。

ルイザと再会してから上の空のサーズデイ警部補には悲しい結末が。 ルイザはオーブンに頭を入れ、ガス自殺。

従業員思いのデパートのオーナー バリッジは死因は夫が亡くなった悲しみだというのですが、遺書を読んだサーズデイ警部補は戦争の傷だと訂正。

ルイザは遺書でフランチェスカを人質にされ、隠れ家を密告したのは自分だと告白。 ずっと罪の意識にさいなまれていたんでしょうね。 戦争の暗い影が尾を引いているのが浮き彫りに。

遺書でサーズデイ警部補への愛を語り、「戦争じゃないときに会いたかった。アモーレ・ミーオ」という言葉が悲しく響くのでした。 アモーレ・ミーオはイタリア語で「私の愛する人」という意味だそう。

十字架に書かれたイタリア語のBella Ciao(さようなら 恋人)は第二次世界大戦でイタリアのファシスト政権に対抗したイタリアパルチザンによって歌われた曲名でもあるそうです。 なんとも切ない終わりでしたね。

原作者のコリン・デクスターは13分ごろバスの乗客としてカメオ出演しています。

Case8 「情事の代償」で流れた曲

  • モーツァルトのレクイエムより「ラクリモーサ」
 

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